卒論用の基礎概念として、「モダン」と「ポストモダン」の概念を押さえないといけないんだけれども、ゼミに出る前に劇団ひとりさんの『陰日向に咲く花』と梅田望夫さんの『Web進化論』を買ってしまった。
図書館に引きこもって、勉強するつもりが、『陰日向に咲く花』を読んでしまった。3時間ほどかかってしまった。『オンエアーバトル』以来の劇団ひとりファンであったので、帯の文句にわくわくしながら、期待と不安の入り混じった中で読む、久しぶりの小説だ。少しネタばれ。
うん。面白い。個性的な面々の個性的な、でもそれは特別ではなく多分誰にでもありそうなことが語られる。けれども、けれどもちょっと、というかかなり不満があるよ。劇団ひとりが大好きな僕には老若男女問わず、川島さんの声が脳内で再生されちゃう。それで彼のいつものコントの結末を構えるように、構えてしまう。だから入り込めなかった。でもこれは著者のせいじゃない。僕のせい。
そう、一番引っかかるのは著者と読者が対等じゃないところ。ちょっとフェアじゃない。面白いんだけれどね。フェアじゃない。話同士が入り組む構造も面白いんだけれども、ちょっと違和感がある。「あ~、こりゃ繋ぐんだな」なんて勘ぐってしまい、実際その通りになる。もう少しさり気なく連関させてほしかった。
本職じゃないからしょうがないとか思うんだけれども、川島さんには何かもっと、うん、頑張ってほしいんだ。もっと色んなことができるんじゃないかと思ってしまうのです。散々文句みたいなこと書いたけれども、アイドルファンの話と芸人の話は抜群だった。泣かせの部分はやっぱひとりのコントになちゃってる。というか、そう頭の中で再生されてしまう。