ABE GUITARS

ギター・ウクレレ制作
フレット楽器全般 修理調整

S.Yairi YD-75N サドル作成

2009年04月14日 | ナット・サドル作成・調整
S.ヤイリ、サドル作成です。3.2ミリの角材から切り出しますが


サドル溝は2.9ミリですので


ペーパーを使って厚みを落とします。


幅も調整して溝に入りました。


オクターブ調整を施します。3弦以外は、ピン側のエッジが頂点です。そして底の平面を出します。ここをきっちり調整するだけで、レスポンスは格段に向上します。大事なポイント。


微調整をし、磨いて完了。


↓オリジナルのサドルです(これも牛骨)。

2弦の頂点が後ろになっていますが、オクターブは合っていませんでした。量産ギターの場合、2弦と6弦の頂点を後ろに補正したサドルを使っている場合が多くあります。機能している場合もあれば、全然そうでない場合もあって、メーカー・機種によって、あるいは個体差もあり、1本1本違います。オクターブ調整は一律にはいかないものなのです。これについてはまた改めて考察したいと思います。

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S.Yairi YD-75N ナット作成

2009年04月13日 | ナット・サドル作成・調整
S.ヤイリYD-75Nをお預かりしました。中国製です。サイドバックはサペリと思われます。

ネックは逆ゾリしているわけではないのですが、弦高が低くビレが激しいため、ナット・サドル共に交換することになりました。

オリジナルのナットは、牛骨です。せっかくですが、溝が深いため交換


取り外してスロットをクリーニングし、新しい牛骨に幅と高さをレイアウト


幅を出す時は神経を使います。ドンピシャの幅で切り出すと、ペーパーで磨いた時に微妙に短くなってしまうので、ほんのわずかにはみ出すくらいに切り出すのがコツなのです。


1・6弦の位置をレイアウト。指板のエッジからの距離は、1・6弦それぞれ1/8インチ・3.5ミリです。
 

1・6弦間の距離からゲージの太さを引いた値を5等分することで、各弦間を均等な距離に設定します。1・6弦間の距離は1.370"、エクストラライトゲージを張っているので、
(1.370"-0.014"-0.022"-0.030"-0.038")÷5=0.2532"
という値(*)になります。


(*)弦間の距離に関しては、こちらの項目もご覧下さい。

弦の位置が決まったところで調弦し、ロッドの調整をします。ネックが反った状態で溝を切ってしまうと、正常な状態にした時に不都合が生じてしまうからです(順ゾリの場合は深くなり、逆ゾリの場合は浅くなる)。

ちなみに、このロッドナットのサイズは5/32"。国産の場合は5ミリサイズのものを使うことが多いようです。

そして溝を適正に切って


高さを調整し、磨いて完了です。


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1995 Martin D-28 フレットすり合わせ

2009年04月12日 | ネック関連
78年製と同様に、マスキングをして


マジックを塗ります


この28は、ロッドを緩めると結構な順ゾリがあるため、ロッドを締めてフラットにした状態で平面を出していきます(順ゾリのままやると、ローポジションのフレットがペラペラになってしまうためです)。


ファイルで成形をして


マイクロメッシュで仕上げます


より詳しいフレットすり合わせの工程はこちらをご覧下さい。

前の工程 次の工程

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1995 Martin D-28 ナット取り外し

2009年04月11日 | ナット・サドル作成・調整
95年製のD-28もお預かりしています。
 
これはナット・サドル作成・ブリッジ貼り直し、フレットすり合わせの他、バックのブレイシングの両端がほぼ全部剥れているので、それも補修です。

ナットを取り付けてから塗装がされていて、ナット前面と側面にも塗膜があるので、際にナイフを入れ、塗膜がめくれてこないように気をつけて


取り外します


ナットはある意味消耗品であり、また、先に行った77年製D-28の様に、弦の位置を変えるなど、カスタマイズする部分でもあるので、交換しやすい配慮として塗装が終わってから取り付けるべし、と個人的には考えています。「メーカーとしての効率的な生産」を考えて作られたギターである以上、致し方ないのですが、ナットに塗装がかからないようにはできないものかと、ナット交換の度に思います。

次の工程

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1978 Martin D-28 ナット・サドル作成→完了!

2009年04月10日 | ナット・サドル作成・調整
ナット作成に入ります。ヤスリと鑿でスロットのクリーニング


今回は無漂白の牛骨を使います。幅と高さをレイアウトして


切り出したあと、1・6弦の位置を決定。オリジナルの位置は、指板のエッジからの距離が1弦側2.5ミリ、6弦側3/32インチでしたが、弦間が若干狭く感じるということで1弦側を少しずらし、エッジから2ミリに設定しました。6弦側は、これ以上外側にずらすと弦落ちしてしまう恐れがあるので、そのままです。


各弦を均等にレイアウトし、溝を切っていきます


溝切り完了


↓こちらはオリジナルの樹脂製、印象が全然違います(もちろん音も)


続いてサドルの作成です。
↓お預かりした時のタスク製のサドル


ナットと同じく、無漂白の牛骨で作成します。高めに切り出して


オクターブ調整を試みました。

が、全弦、ピン側のエッジを頂点にしても、かろうじて2・3弦のオクターブが取れている状態で、あとは全部シャープしてしまいます。このタイプのブリッジ・サドルでオクターブをきっちり調整しようとすること自体、無理な話なのですが。オクターブ調整に関しては、後日項目を改めて考察します。

ナット・サドル共にマイクロメッシュで磨いて、微調整をして完了です


音的には、曇りガラスが透明ガラスになったようなクリアーな響きに変わりました。フレットすり合わせも行いましたので、ビレも改善され、どのポジションでもエッジの利いた音が出ます。全体的にレスポンスが向上したように思います。

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1978 D-28 フレットすり合わせ

2009年04月09日 | ネック関連
フレット入れを終え、すり合わせに進みます。まずは指板のマスキング

できるだけ均一に平面を出す目安とするため、フレットにマジックを塗り


各種レベラーで平面を出していきます


マジックが残っているところが、まだ削り足りない部分で、マジックが消えるところまで削ります。でもやりすぎは禁物で、多少マジックが残っていても、適度なところで切り上げます。
 

ヤスリで成形をして


最後はマイクロメッシュで磨いて完了です


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1978 Martin D-28 フレット入れ直し

2009年04月08日 | ネック関連
直線性を確認しながら指板調整をし、フレット入れに進みます。


チッピングを防ぐためにスロットのエッジにファイルがけをし


溝が浅くなったところはノコで深くし


フレットを入れていき


完了


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沖縄三線 ポジションマーク入れ

2009年04月07日 | その他リペア
沖縄三線をお預かりしました。


蛇皮が破れた、といった修理であればお断りするのですが、ポジションマークを入れたい、というご要望はギターと同じですので、お引き受けしました。ご自身でシールを貼られていましたが、プラスチックのポジションマークを埋め込むことになりました。


フレットが無いので、教本の解説通り、ナットからの距離を測って位置決めをします。
 

同一線上にするため、指板と平行な線を引き、ナットからの距離を測ってマーキング


錐で中心を決めて


ドリルで穴開け


ポジションマークを入れて


ナイフで切り取り、クリーニングして完了


本来は塗装を施すべきですが、触った感じは問題ないので、とりあえずは塗装は無し、ということにしました。弾いてもらって違和感を感じるようであれば塗装することになります。この辺の判断も、予算的時間的、また弾き手の感じ方によって変わってきますので「正解」はありません。

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1978 Martin D-28 指板修正

2009年04月04日 | ネック関連
1978年製のマーチンD-28をお預かりしました。
 
12フレット以降の指板が少し湾曲していて若干ビレがあります。フレットも結構減っているので、指板全体の修正と全フレット交換、という選択肢もありましたが、今回はとりあえず12フレット以降の指板修正とフレットの入れ直し(フレットはオリジナルを使用)をやることになりました。

フレットを外します
 

修正の範囲の関係上、11フレットも外すことにして、指板を修正していきます


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ロゴマーク インレイ加工

2009年04月03日 | 制作過程
ロゴマークのインレイ加工です。位置を決めて、微量の瞬間接着剤で仮止め
↓こちらはアバロン貝


↓こちらは白蝶貝


ナイフを入れて


溝を彫っていきます


このロゴマークは“A”をデザインしたものです。わかってもらえない時も多々あり、いろいろ言われました。
「鹿の角」「漢数字の八」「名古屋市のマーク」etc...究極におもしろかったのは「女の人の足」。いろいろなイマジネーションをかき立てるロゴ、ということでしょうか。

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ペグ穴開け

2009年04月02日 | 制作過程
ヘッドストックのペグ穴開け、ラインを引いて位置決めをします。


以前はテンプレートで位置決めをしていましたが、ヘッドストックは同じように成形しても微妙に異なるカーブラインになってしまうこともあり、そうするとテンプレートで決めた穴の位置では微妙にずれてしまうので、たとえ面倒でも1本1本のカーブラインに合わせて位置決めした方が正確さを期すことになるのです。正確さのために作ったテンプレートが逆に不正確さを招いてしまう・・・皮肉な結果となっています。


通常のドリルではなく、ブラッドポイントと呼ばれる、正確に中心を決定できるドリルを使って穴開けしていきます。
  

ペグを取り付けてみます。リーマーでテーパー加工


こんな感じになります
 

ペグはどちらもGOTOH製SGS510Z(ギア比 1:18)、カラーはコスモブラック、ボタンはエボニーです。ハカランダの方はマグナムロック仕様、パーフェローの方はHAPA(可動式ポスト)仕様です。

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Chaki P-1 ブリッジ調整→修理完了!

2009年04月01日 | ブリッジ関連
チャキはフレット交換・すり合わせ、ナット作成を終えて、しばらく疎遠になっていました。ようやく最終調整です。

ブリッジ底のアールが、トップのアールと合っていないため、ペーパーで調整します。


スタッドの下穴は、ブリッジの厚みの半分くらいまでしか無く、また短めのスタッドでは弦を張ると張力に負けて斜めに傾いてしまうため、穴を貫通させ、且つスタッド自体も長いものに交換しました


スタッドが入るサドルの穴は、念のため真鍮パイプで補強


オクターブ調整を施し、ピックガードを取り付けて完了


40年も経っているので、かなりいい感じで枯れていて、新品では絶対出せないサウンドが出ています。

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