2014/11/13 西の風強く 快晴
低気圧が日本海に入り12日(水曜)に南西風が吹くと予報が出た。
しかし、あいにく風が吹き始めたのは日没直前。
12日深夜にかけて低気圧は日本列島を横断。
本日13日早朝に日本列島は典型的な西高東低の冬型の気圧配置になった。
10日前の11/3に西風が吹いたが、この日は西高東低ではなかった。
だから今日13日が湘南では今季初の西高東低の大西となる。
大西は湘南地方の漁師用語で、漁ができなくなる嫌われものの季節風だ。
大西は沖から大きなウネリを伴う冷たく重い強いまやかしの南西風。
何故まやかしかというと、列島山脈を越えてきた北風が
遠州方面の海岸線に沿ってねじ曲がるため湘南地方に南西風として訪れるわけである。
だから沖は北風なんだね。
大西が吹くと漁はもちろん、サーフィンもままならない。
大西の恵みを享受できるのは、ウインドサーファー、カイトサーファーだけとなる。
その大西でベストゲレンデになるのが茅ヶ崎。
ウインドサーフィンは、海に向かって真横から風が吹くのが一番良い。
何故かって言われると説明が面倒なんで省きます。とにかく横からの風が良い!!
で、湘南の地形上、サイドから風が吹き付けるのは茅ヶ崎だけなんだね。
というわけで、11月13日を皮切りに、冬のウエーブライドシーズンがついに開幕したのさ。
オレはというと、まだ暗いうちに起床し、ラッキーの散歩を済ませから、
4.8㎡と4.2㎡のセイルと76Lのボードを自転車に積んだ。
ビーチに着くと自分の他に2名いた。 イクミとカワシマだ。
4.8㎡をセットしていると、知らないサーファーが、おはようございまーす!と挨拶してくる。
平日の早朝はローカルしかいないので自然に知り合いになるし、自ずと声を掛け合う。
気持ちいいね。宮崎みたいだ。宮崎も挨拶が当たり前のようにされる。
まあ茅ヶ崎はホノルルとアロハ提携したからね。 挨拶しなくちゃ!
ボードを水に浮かべる。 立つ。セイルを引き込む。
岸よりは風が弱かったが、波を2つ越えたらいきなりトップスピードに入った。
潮が引いてる時間帯だったのか、沖はほぼ真っ平ら、波は腹でグラッシー。
4.8を走らせる風なのに、面は全く荒れてなく、適度に掘れて、かつ絶妙に張っている。
そして江ノ島方面から登った朝陽は、沖に向かってプレーニングするオレを強烈に照らした。
眩しくて目がくらむぜ~。
水はまだまだ温かく、そのせいか足元への水の反発は柔らかい。
柔らかいなりにもしっかりしたバネが内蔵されている上等なマットレスのようだ。
沖でジャイブしてインサイドに向かうと、
朝陽が照らすビーチやマンションや松林がパノラマで目に飛び込んでくる。
海を挟んで日常生活がそこにある。
ジャイブを決めたポイントから陸に1キロも行かないところで、
あいつは牛乳を飲み、あの娘は歯を磨いている。
ローカリズムの究極はそういうことを感じることだ。
彼女が洗面所で歯磨きのすすぎで水をペッ!とするときに、
オレは波しぶきで口に入った海水をペッ!とする。
ローカリズムにはその近距離の親近感という側面があった方がなおいい、ってことだね。
波は15分単位で徐々に上がり、腹から胸サイズになった。
ウネリを沖から曳いてくる。徐々に傾斜がついてくる。
待って待って耐えて耐えて、波のピークがはっきりするまで待つ。
ピークの少し風上まで板を走らせ、そこでちょっとだけステイして、
で、狙いを定めて、一気に前傾する。
ボトムターンの調子が良い。
ランニング効果で足腰がぶれない。膝がバシッと曲がる。
ボードノーズがリップめがけて駆け上がる。
サイドショアと波のクオリティーとスラスターボードの組み合わせが、
深いターンを可能にした。
波を駆け上がると、セイルのパネル越しに朝陽が飛び込んでくる。
眩しくて目が眩み視界を失う。
あまりに眩しくて、バランスを失い転んで波に巻かれて、そして海面に浮上する。
するとセッティングのときに挨拶してきたサーファーが斜め前にいたよ。
目が合って、「わお!かっこいいですね~!」と彼が遠くから大きな声で言ってきた。
なんかとても幸せな気分になったよ。