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中国に最新鋭パネル工場新設へ シャープ「逆転のシナリオ」

2011-01-20 23:03:17 | ThinkAbout..
リーマンショック後、日本が中国製品1/2の価格に下がるまで、日本経済が破壊するまでのシナリオ。
シャープが動き出した。

『参考』ダイアモンド・オンラインより

テレビ向けの液晶パネル製造で世界トップクラスの技術を持つシャープ。
その技術の粋をつぎ込んだ「虎の子」の堺工場(大阪府堺市)のノウハウや技術を使い、
2013年までに中国・南京に世界最新鋭(第10世代)の液晶パネル工場を新設する方針を固めたことが、本誌の取材でわかった。

 1月17日午前。大阪府堺市の臨海エリアに広がる
シャープの世界最新鋭の工場群「グリーンフロント堺」(敷地127万平方メートル)の正門ゲートに、
中国政府関係者らを乗せた1台のリムジンバスが吸い込まれていった。

 目的は水面下で進む新設工場のモデルとなる堺工場の視察だ。
最新鋭の液晶パネル工場に加え、材料を提供するガラスメーカーや大手印刷会社も訪問。
メンバーには中国の経済政策を担い、
国家プロジェクトの許認可に大きな力を持つ「中国国家発展改革委員会(NDRC)」の幹部の姿もあった。

 その中国政府関係者を出迎えたシャープ側は、急きょ海外出張をキャンセルした片山幹雄社長が応対。
そうとうな力の入れようであることが見て取れる。

「中国にとって堺工場は、どうしても欲しい工場だ。これまでと違い、一気にシャープの立場が優位になった」。
あるシャープ幹部は、この視察ツアーを前に、中国・南京でのプロジェクトに強い自信をのぞかせた。
液晶パネル事業を一大産業に育て上げる考えの中国にとって世界最先端の液晶パネル工場は、
喉から手が出るほど欲しい技術が満載だからだ。

 中国でふくらみ続けるテレビ市場を狙って、
これまで日本、韓国、台湾の有力メーカーが液晶パネル工場の新設計画をこぞって申請してきた。

 現地生産ができれば部品調達や運送費、人件費などコスト面で優位になるためだ。
だが、限られた認可枠をめぐり、シャープは苦戦を強いられてきた。

 シャープが中国進出のパートナーに選んだのは、
中国政府系の大手電機・電子メーカーである中国電子信息産業集団(CEC)と、
傘下の南京中電熊猫信息産業集団(CECパンダ)。
3社を中心に南京政府の後押しも受け、同市で液晶パネルの一大生産拠点の構築を進めてきた。

 亀山第1工場(三重県亀山市)の第6世代(G6)の液晶パネル製造ラインを、
CECパンダに売却し、今年3月には技術協力して稼働が始まる。
しかし主力の第8世代(G8)の工場認可では劣勢とされ、「手詰まりになっている」とささやかれていた。

 そこでシャープが、一発逆転を狙い担ぎ出したのが、
巨大なマザーガラス(2880ミリメートル×3130ミリメートル)を採用する最新鋭の第10 世代(G10)工場だ。

 液晶パネルを切り出す母体のマザーガラスが大きければ大きいほど、
効率的に液晶パネルを生産できるため、競争力は向上する。
G10は世界で唯一、シャープの堺工場が実現している大きさで、この最先端設備と技術が、
中国政府への強いアピールになったというわけだ。

前出の幹部によると、投資額は堺工場と同規模の約4500億円、
月産能力はマザーガラス8万枚(40型換算で年間1700万台以上)と見込まれる。
まさに一大プロジェクトだ。

 そこには「中国では絶対に負けられない」というシャープの事情がある。
国内薄型テレビのシェアは業界トップの40%超を誇るが、
世界に目を転じればシャープのシェアは6.4%しかなく、
ライバルの韓国勢はおろか、ソニー(12.8%)やパナソニック(9.0%)にすら大きく水をあけられている。

 シャープのブランド力が通用し、海外売上高の約3分の1を占める中国市場は、
内に強く外に弱い「内弁慶のシャープ」というレッテル返上のため、譲れないマーケットなのだ。

 しかも中国は、今年には北米を抜いて世界最大のテレビ市場になる見込みだ。
この成長のタイミングに合わせ、今年から13年にかけて南京で一気にG6、G10の製造ラインを稼働。
コスト競争力の高い「アクオス」を売り、他のメーカーにも良質な液晶パネルを供給することで、
テレビメーカーとしても液晶パネルの供給メーカーとしても、高い地位を確立するシナリオを描く。

 加えて、いわゆる「中国2012年問題」もある。
これは、G8を中心とした計画が多いため、
メインで生産される32型の液晶パネルが「ジャブジャブのモノ余り状態」になる危険性を指す。
「これらの計画がすべて稼働すれば、8000万~1億台の32型液晶テレビができる」(関係者)とされ、
実際の需要に対してオーバーキャパシティとなることは明らかなのだ。

 かたやG10は、32型に次いで売れ筋の40型や60型の生産に向く。
つまり、ライバルメーカーとの泥沼の価格競争に陥らず、高い競争力を維持できる可能性を秘めている。
「結果的に(早い段階で)中国政府の認可が下りなくて幸運だった」(シャープ幹部)というのは、こういう理由からだ。

 一方、業界関係者からは先端技術を高める「マザー工場」として、
09年10月に稼働した堺工場の行く末を案じる声も上がっている。

「堺工場の稼働率を上げるのに四苦八苦しているのに、中国に最新鋭の工場をもう1ヵ所造って、
本当にうまく運営できるのか」と危惧するのは、
液晶パネルに詳しいテクノ・システム・リサーチの林秀介マーケティングディレクター。

 堺工場は、1ドル=80円台の円高による逆風に加え、
液晶パネルの大口納入先であるソニーなどが受注量を減らし、苦しい舵取りを迫られている。
そこで今後は、コスト高となる堺工場の製造ラインを「60型や70型など超大型のプレミアム商品に特化するなど、
腹をくくる必要がある」と指摘する。

 実際に、国内外の工場の役割分担を転換せざるをえなくなっている。
亀山第1工場には、米アップルのスマートフォン向けの中小型液晶パネルのライン新設計画(投資額約1000億円)が浮上。
堺工場では60型の大型テレビやホームシアター、
今後期待されるデジタルサイネージ(電子看板)など商業用ディスプレイの需要を見越して、
「大型ディスプレイの市場開拓を進める」と発表した。
だが、需要に合致しなければ、大きなリスクを抱えることになる。

「液晶のシャープ」と呼ばれ、高画質・高品質の液晶パネルを支えてきた技術力。
その最新鋭工場を持ち出してまで、南京で進める「地産地消戦略」は、何をもたらすのか。
日本メーカーの未来を占うシンボルとして今後も目が離せない。



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