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Surf, Run and Trails / Endurance For Fun

宙に浮く女

2017-07-17 11:28:34 | ランニング

7/16(日) 大山トレイル

丹沢山系の東端にある大山。
標高1252m。
古くから信仰の山として神秘と秘法の場として知られる。

午前8時、麓の鶴巻温泉をスタート。
すでに暑く、トレイル入り口に差し掛かるまで汗が吹き出している。
走り始めて一気に体温が上昇したのだろう、心肺機能が体温上昇について行けず低調。
そのバランスの悪さに息苦しい。身体の動きは良くない。

パーティーは4人。

大山は丹沢山系にしてはガレ場が少なく、トレイル幅が広く、とても走りやすい。
土の感触と腐葉の感触を確かめながらゆっくり走る。
木々はそんなに鬱蒼としていないし、体に触れる葉がない。
とても快適な部類に入るコースである。
細やかなアップダウンを繰り返すのでスピードに乗ることが出来、
ハイカー、登山者はケーブルを使って登ってくるので、
途中ですれ違ったり追い越したりが極めて少ない。

しかしコースは快適なのだが、とにかく激暑である。
吹き出す汗が止まることはなかった。

汗は最初に大量に出て、ある程度身体を冷やしてくれると落ち着くものなのだ。
それでも稀に沢から吹き上げてくる涼風に救われことはあったものの、常に暑い。

繰り返すアップダウンにとても良い下りが現れた。
まるでモーグルバーンのようにフォールラインが真っ直ぐで、
岩や木の根でできた段差が駆け下りるリズムにマッチしている。
そういうバーンは片足ずつ下りない。
意識的には両足でポンポン飛び降りながら微妙に左右に振ってブレーキングする。
胸は真下に向けたまま。
とても楽しい!
スピードに乗る。
で、最後は調子に乗る。



木の根に足を引っ掛けた。
その根は復路に確認したら高さが3センチくらい。
そんなんでも引っ掛かる。
足はロックされ身体だけものすごい勢いで前にふっ飛ばされる。

スキーの転倒と訳が違う。恐怖が半端ない。
一瞬ふわっと宙に舞い続けざまに地面が迫ってくる。
運の良いことに尖っている岩は目の前に無かった。
地面に叩きつけられる直前に身体を捻って背中から落ちるようにした。
背中のザックがクッションにするためだ。
でもそこまで身体は回りきらず、左側面を強打しながらずり落ちて、
背中でブレーキをかけた感じだ。
デサントのシャツと0nのショーツが泥だらけになった。
あちこち擦りむき、手足の土のこびり付いたところから血が滲む。

関節OK!痛くない痛くない!モチベーションOK!
また走り続ける。

。。。。

5月後半から毎週末トレイルしている。
つまり、毎週末風が吹いていないのでウインドしていないということになるのだが、
とにかく毎週末欠かさず山を走っている。
(平日はロードを走ってるよ。)
少しづつだが足が出来上がってきてるような気がする。

俺ら男二人は急な粘土質の勾配を一気に登りきる。
心臓が破裂しそうになる。
前はできなかったと思う。

それを見ていたミドリちゃんに火がつく。

結局のところランニングモチベーションは悔しさを持てるかどうかなのだ。
この女は相手が男だろうとメラメラと闘争心を燃やす。

山頂まで2キロのところで急勾配の岩場になる。
ケーブル口から登ってくる登山者と合流する。

この信じられない暑さのなか9割9部長ズボン。半袖も少ない。
一歩一歩確実に堅実にそして静かに登っていく。
彼らの行列が途絶えるとランに切り替える。

後ろから驚愕の声が聞こえる。
「すっげー!!!」 「ええええ!まじすか!!!」 「かっこえええええ!!!」

重装備な登山者の中、ノースリーブシャツに短パン。そりゃ目立ちますな。

で、ギャラリーがいるのでますます燃える。登りは炎と化す。
足の毛細血管が千切れてる感じがする。
心臓はほとんど食道につっかえてる感じだ。
トレイルはリズム。登りの岩だって飛び移りながら走る。
後ろを振り返るとミドリちゃんがぴったりとくっついて来てる。

しなやかなケニアのバネ女。
大山を疾走する女豹(笑)。


やっとこさ全員無事に山頂到達。
江ノ島と自分ちが見える。
約15分の休憩。
楽しみにしていたオニギリをザックから取り出す。

ピザみたいになっとりました。
転倒のときのクッションオニギリ。



袋の上から握り直して食べる。うまいことに変わりはない。
山頂小屋でバカ高いコーラを買って飲む。
最近いつも思うがコーラほど美味い飲み物はない。
走ったときはガブガブ飲む。
でも普通の人はダメですよ。ブーデー一直線です。


復路トレイル開始。

復路はある程度まではあっという間に下れる。

鎌倉時代あたり、この大山は信仰が深く、
秘法を会得するため密修行が行われていたらしい。
やはり登ったり下ったりのランもしたのだろう。

その秘法修行が行われていたというところを通過。
ミドリちゃん、女豹から女天狗に変身した。
浮遊の術を会得したのだ。
崖のような段差で慎重に降りるところなのだが、そこをヒョイっと。
しかも笑ってるし。



大山は後半アップダウンの繰り返しになる。
これが疲れきった身体に重くのしかかる。
なかなかゴールできないのだ。

しかも昼下がり、気温は更に上がりもはや危険温度。
麓に近づくほど暑い。
無風で湿度も相当高い。

オレには昨日のような異変はなかった。
ところが他の3人に異変が起こった。
ラスト3キロくらいだったろうか、一人は視点が落ち、
まったくといっていいほど目が動かなくなった。
腕も頭も肩も顔も、すべての筋肉が重力に逆らえず下に下に落ちる。

残る2人には先に車に戻ってるように伝え、
重力に従順なオバハンをアテンドする。
途中で諦めることは出来ない。
自力で帰らなくてはならないのだ。それがトレイル。

全工程23キロ終了。
駐車場に戻ると先に戻った2人も頭を抱えている。
水をこれでもかというくらい飲み、保冷剤で頭を冷やす。

3人共少しの休息で復帰。
昨日のオレもすぐ復帰した。

あれだな、夏走っていて身体が丈夫になってきてるのかな?
まあこの天気だと熱中症にならないほうが不思議だけど。

とにかく普通のフルマラソンより明らかにきつかった。
ウルトラマラソンの70キロ地点な感じでした~。

(シューズ脱いで足がつり、激痛に顔を歪めるオバハンA、

それを後ろで笑ってみてるオバハンB)


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