続・食料自給率にも多様性があっていい。
農作物には、土地利用型作物と労働集約型作物があり、その作物を使った
土地利用型作物農業と労働集約型農業があることを、ご説明しました。
そのうえで、最近なにかと話題となることが多い日本の食料自給率の表し
方を取り上げ、カロリーや生産額や、さらに重量で表した自給率もあった
たほうがベターだと述べました。そして本日は、続編となります。
まずは、農業新聞のトップを飾ったこの写真です。
7月12日の『飼料詰み大型船入港』と言う見出しのついた日本農業
新聞の第一面のトップ記事に使われた写真となります。
この記事のおおまかな内容ですが・・・『津波により甚大な被害を受けた
宮城県石巻港に11日、震災後初となる大型外航船が到着した。石巻市は
東北地方の飼料380万トンの3割を占める飼料基地。大型船での仕入れ
が再開したことで、安定的な飼料供給体制が整った』と、いうものです。
東北地方は有数の畜産基地ですからね。この日に入港した5万トン級の大
型貨物船で運ばれた米国産トウモロコシ2万5000トンは、飼われてい
家畜への安定的な飼料供給に対して大いに役にたったはずです。ちなみに
今後は震災前と同様に、〔トウモロコシだけでも〕1ケ月に一回の割合で
このような大型船による輸送が行われることになります。
いやー、よかったですね。と、ここまでは新聞による単なるニュース。
これから先を考えるのが、現場に居るものとしての つとめです。
そうなんです。理解されている方も多いとは思いますが、有数の畜産基地
である東北の家畜の餌もまた、ほとんどは外国産なのです。この事実が、
カロリベースや重量ベースの自給率が必要な理由
となります。
そして飼料ならまだまし。
この写真の、横断幕をもって入港を歓迎する方々が、日本人の食料に関係
する人々であったとしたら、どうでしょう。今回ご紹介した『飼料詰み大
型船入港』の飼料を食料という言葉に置き換えたとしたら、どうでしょう。
脅かすわけではありませんが、おりしも本日は、終戦記念日。幾多の農業
の先輩たちから、終戦前後のイネの収量は悲惨といってもよいほどだった
という言葉を、〔わたくしは〕何度も職場で聞かされてきたのです。
その言葉を思い出しながら、この新聞記事を眺めると、どうしても飼料が
食料という言葉に見えてしまうのです。
◎ そして参考資料〔時事通信 4月30日〕
岩手の養鶏農家も大打撃=えさ不足で大量殺処分―生産高国内3位
東日本大震災は、津波被害を免れた岩手県の養鶏農家にも大きな打撃を
与えた。地震に伴う停電や津波で、飼料工場などが操業停止に陥り、農
家は弱ったニワトリを大量に殺処分。同県の鶏肉生産高は国内3位で、
高病原性鳥インフルエンザ問題に揺れる日本の鶏肉産業にとっても痛手
となった。
陸前高田市の高台で「タカハシファーム」を運営するTさん。生まれた
ばかりのひよこを仕入れ、60日程度かけて育てた後、大船渡市の食肉メ
ーカーに出荷していた。「子供たちが安心して食べられるものをつくり
たい」と、抗生物質を使わずに育てたニワトリが自慢だった。
津波で市役所などが流された市中心部とは違い、5万羽を飼っていた養
鶏場に大きな被害はなかった。だが、宮城県石巻市や青森県八戸市など
沿岸部にある飼料工場が被災して、えさが入手できなくなった上、出荷
先のメーカーの工場も停止。1週間は様子を見たが、えさ不足で弱った
ニワトリは病気にかかりやすいため、全て処分して埋めた。ひよこの購
入代や飼育に使ったえさ代など、被害は2000万円に上る。岩手県畜産
課によると、震災の影響で養鶏農家のニワトリは4月下旬までに約270
万羽が死んだという。
▼ ほめ殺しという言葉。“日本農業は強い論”を聞かされると、
わたくしは、このほめ殺しという言葉を連想してしまいます。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」
農作物には、土地利用型作物と労働集約型作物があり、その作物を使った
土地利用型作物農業と労働集約型農業があることを、ご説明しました。
そのうえで、最近なにかと話題となることが多い日本の食料自給率の表し
方を取り上げ、カロリーや生産額や、さらに重量で表した自給率もあった
たほうがベターだと述べました。そして本日は、続編となります。
まずは、農業新聞のトップを飾ったこの写真です。
7月12日の『飼料詰み大型船入港』と言う見出しのついた日本農業
新聞の第一面のトップ記事に使われた写真となります。
この記事のおおまかな内容ですが・・・『津波により甚大な被害を受けた
宮城県石巻港に11日、震災後初となる大型外航船が到着した。石巻市は
東北地方の飼料380万トンの3割を占める飼料基地。大型船での仕入れ
が再開したことで、安定的な飼料供給体制が整った』と、いうものです。
東北地方は有数の畜産基地ですからね。この日に入港した5万トン級の大
型貨物船で運ばれた米国産トウモロコシ2万5000トンは、飼われてい
家畜への安定的な飼料供給に対して大いに役にたったはずです。ちなみに
今後は震災前と同様に、〔トウモロコシだけでも〕1ケ月に一回の割合で
このような大型船による輸送が行われることになります。
いやー、よかったですね。と、ここまでは新聞による単なるニュース。
これから先を考えるのが、現場に居るものとしての つとめです。
そうなんです。理解されている方も多いとは思いますが、有数の畜産基地
である東北の家畜の餌もまた、ほとんどは外国産なのです。この事実が、
カロリベースや重量ベースの自給率が必要な理由
となります。
そして飼料ならまだまし。
この写真の、横断幕をもって入港を歓迎する方々が、日本人の食料に関係
する人々であったとしたら、どうでしょう。今回ご紹介した『飼料詰み大
型船入港』の飼料を食料という言葉に置き換えたとしたら、どうでしょう。
脅かすわけではありませんが、おりしも本日は、終戦記念日。幾多の農業
の先輩たちから、終戦前後のイネの収量は悲惨といってもよいほどだった
という言葉を、〔わたくしは〕何度も職場で聞かされてきたのです。
その言葉を思い出しながら、この新聞記事を眺めると、どうしても飼料が
食料という言葉に見えてしまうのです。
◎ そして参考資料〔時事通信 4月30日〕
岩手の養鶏農家も大打撃=えさ不足で大量殺処分―生産高国内3位
東日本大震災は、津波被害を免れた岩手県の養鶏農家にも大きな打撃を
与えた。地震に伴う停電や津波で、飼料工場などが操業停止に陥り、農
家は弱ったニワトリを大量に殺処分。同県の鶏肉生産高は国内3位で、
高病原性鳥インフルエンザ問題に揺れる日本の鶏肉産業にとっても痛手
となった。
陸前高田市の高台で「タカハシファーム」を運営するTさん。生まれた
ばかりのひよこを仕入れ、60日程度かけて育てた後、大船渡市の食肉メ
ーカーに出荷していた。「子供たちが安心して食べられるものをつくり
たい」と、抗生物質を使わずに育てたニワトリが自慢だった。
津波で市役所などが流された市中心部とは違い、5万羽を飼っていた養
鶏場に大きな被害はなかった。だが、宮城県石巻市や青森県八戸市など
沿岸部にある飼料工場が被災して、えさが入手できなくなった上、出荷
先のメーカーの工場も停止。1週間は様子を見たが、えさ不足で弱った
ニワトリは病気にかかりやすいため、全て処分して埋めた。ひよこの購
入代や飼育に使ったえさ代など、被害は2000万円に上る。岩手県畜産
課によると、震災の影響で養鶏農家のニワトリは4月下旬までに約270
万羽が死んだという。
▼ ほめ殺しという言葉。“日本農業は強い論”を聞かされると、
わたくしは、このほめ殺しという言葉を連想してしまいます。
「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染」