グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

葉野菜の芽立ちがおもわしくなかったら、ひょっとして。

2013-04-12 05:13:32 | Weblog
葉野菜の芽立ちがおもわしくなかったら、ひょっとして。

植え付けの春。

芽だったころのホウレンソウの葉が、縮れたり、こぶ状の小突起ができ
たり
といった症状になり、ひどいときには芯どまりになって成長しない
・・そんな経験はありませんか。

じつはこれ、新芽部に寄生する体長約0.6mm前後の小さな虫、ホウレン
ソウケナガコナダニ
の仕業であることが多いんですよ。 こちら 。

この虫がホウレンソウの芯の部分に寄生し食害することにより、商品価
値を低下させ、特に春作と秋作では収量低下の大きな原因となります。
またこの虫が土壌中にもっとたくさんいるときは発芽することさえまま
ならない場合もある
ということなので、注意が必要です。

問題になりはじめたのは2005年以降。

2008年には、2度にわたって日本農業新聞が、このホウレンソウケ
ナガコナダニの被害が全国に広がっていることをトップ記事で報じて
話題になりました。記事の内容はつぎのようになります。

2008年6月13日分トップ記事。↓

ホウレンソウを食害するホウレンソウケナガコナダニによる被害が、全
 国39都道府県に広がっていることが12日、本紙の調査で分かった。
 環境保全型農業の拡大とともに、同ダニの餌になる未熟堆肥(たいひ)
 や有機質肥料の利用が進んだことが要因。関係者は「国を挙げて試験
 研究に取り組んでもらいたい」と訴える。


と、いうことでした。

・・・これは環境保全型農業、いわゆる有機栽培における〔生の有機物
使用の〕弊害が出た顕著な例のひとつなんです。

本来土壌中に生息する有機物分解者であったはずのホウレンソウケナガ
コダニが、環境の変化によって害虫とされてしまった。

 ホラーですね。

そして、どれだけたくさんの未熟有機物が全国の耕地で施用されているの
かと、心配
させられる話でもあります〔土壌に保持できなくなった分は
水に乗って環境中に放出されるわけですからヒトにとってもホラーです
〕。

ということですから・・

田畑への有機物の施用に関する、質と量そして回数の規制がない現状とし
ては、「ホウレンソウケナガコダニの被害がでるほ場では、未熟有機物の
使用を控えてもらえませんか
」と、いまのところは農業者の見識と良心に
おねがいするしか方法がないわけです。 タネバエ被害について は こちら 

「キュウリ、スイカ、ピーマン、トマト、ネギ、ニンジン、キャベツ、ト
 ウモロコシにも被害がでますので、よろしくおねがいいたします」

と、お伝えして、人為的に生態が変えられたダニのはなしはおしまいです。


◎ 『現代農業』誌の推奨された農法、「土ごと発酵」が盛んになって
  から確実に被害が増えた
ように思えてしまうのですよね、個人的には。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「本当は危ない有機野菜