グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

『ミネラルにも派閥があって。』

2016-12-14 11:48:27 | Weblog


葉を厚くしたり果実の色を濃くするには、苦土とリンサン分の補給
が効果的としたのは前回
でした。しかし。苦土とリンサン分の補給
は やっているはずなのに、なぜか効果が表れにくい・・・という
ケースもあります。そんな現象の原因として考えられるのが、ミネ
ラルの間の相性です。ということで前回の続編となります。

 ↓

『ミネラルにも派閥があって。』

ひつづきミネラルのはなしです。

土壌検査をしてみると、圃場の土のなかに作物の成長に必要なはずの
ミネラルの量は問題なく充分にあるはずなのに、いざ作物を栽培して

みると

 それでも苦土やホウ素・石灰が効きにくい

といった生育をしがちな作物のケースも、よくあります。さらに効き
にくいといった程度ではなく

 苦土欠乏やホウ素欠乏・石灰欠乏がおこる

というケースが実際問題としてある。

土の中にミネラルはあるのに、なぜ効かないのだろう と思うのです
が、こういった現象の原因のひとつとして考えられるのが各ミネラル
のあいだの 拮抗作用 だといわれています。

拮抗作用とは・・・簡単にいうと「ミネラル同士の喧嘩」。

たとえばカリの場合ですが、カリが土の中に多く存在すると、作物へ
のマグネシウム/苦土の吸収を抑えるとされています。そのために土
のなかにマグネシウム/苦土がたくさんあったとしても、作物の生育
の過程でマグネシウム/苦土の欠乏症状がおこるばあいがあるという
わけですね。
また カリは[マグネシウム/苦土と同様に]作物へのカルシウムや
ホウ素の吸収を阻害しやすいことも知られています。

そんなミネラルのあいだの相互関係[要素の相互作用といわれていま
すよ
]を図示したものが こちら 。


 ののののの 要素の相互作用


直線は 拮抗作用。そして点線は、作物に吸収れるのを助けあうとい
う相助作用をあらわしています。
そうなんです、ミネラルはお互いに喧嘩するばかりではなく、協力し
あう場合もあるのですから、おもしろいものですよね[そんな相助効
果は、たとえばリンとマグネシウムの関係で知られています
]。

と、いうことで今回は、お互いのあいだに好き嫌いが存在するために
土の中にたくさんあったとしても、特定のミネラルが作物に吸収され
にくい
こともある[逆に土のなかに少ない場合でもなぜか良く効くこ
ともある
]という・・・

 人間とおなじように、ミネラルにも派閥がある

みたいな、そんなおはなしでした。


◎ そして連想されませんでしたか、 旧約聖書のアダムのはなし を。
  そう「アダムは、神によってその息吹と土から創造された」という
  あの一節です。・・・ひとに派閥があるのは、土のミネラルの作用
  なのかもね/笑。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜