グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

覚悟してレモンの樹を切る。

2021-01-05 22:54:51 | Weblog
覚悟してレモンの樹を切る。
空き地であった隣地との境に植えられている 事務所の庭、
駐車場のわきに植えられている1本の檸檬/レモン樹。

かつて事務所の皆で植えた樹である。

お隣に建物が建つてられる以前には、その場所には冬場にも
太陽の光がサンサンと絶え間なく降り注ぎ、収穫期となれば
量は少ないけれどみずみずしい果実を収穫できたものだった
のだけれど・・・隣地に建物が立ってから檸檬の様子がかわ
った。

境界に設けられたブロック塀に遮断されて風通しが悪くなり、
なにより冬場にはまったくといってよいほどに 日が差すこ
ともなくなってしまった場所に寂しく佇む/たたずむ檸檬樹。
年を経るごとに収穫できる果実の数は減っていき、入れ替わ
るかのように 葉の影にあってほとんどみえなかったほどの
トゲが、いつのまにかおおきく変化していった。 なかには
5センチを越すほどの鋭いトゲも見受けられるようになって
きた。

こうなると駐車場にいこうとして、樹のそばを通過するのも
むづかしくなってくる。事務所の関係者だけではなく、来客
など付近を通る人々をも傷つける場合[衣服を刺に引っ掛けた
り、剪定枝で靴底を踏み抜いたり!]も出始めたのであった。

これではあぶない。ということで樹の枝葉の伸びる時期には
格段の注意力をもって樹のトゲがまだ成長して硬くならない
うちには努めて剪定作業をおこなってきたのではあるが、

 日光の当たらない条件はこれからも続くのであるから
 思い出のある樹ではあるけれど、思い切って伐採しよう

という意見が社内で主流となり、ついに2020年の年末、
お隣の建物ができてから8年後のこの時期に、檸檬樹にす
まないと思いつつも切除することに決まった。

・・・そして いま。

[個人的には伐採に反対であったはずの自分が]本日にかぎっ
て何故か時間がぽっかりと空いていた自分が、
剪定バサミとチェーンソウ、切った剪定枝を入れる袋などな
どの道具一式をもって、高さ・樹冠の直径ともに2メートル
弱になったが、これから切断されるであろうレモン樹と対峙
しているというわけである。

さて。

まずは一枚の葉の陰に必ず1枚ついている枝葉の棘をできう
るかぎりハサミで切除していく。もちろん長袖シャツに作業
着を着込み、厚手のゴム製の手袋は必着のうえ。さらにいざ
というときの事故に備え、棘のついた枝の跳ね返りによる目
の損傷などを防ぐ意味でキャップではなく直経の長い麦わら
帽子をかぶり、保護メガネを着用した。

それから2時間。

万全の装備と細心の注意をもって、まずは存在するトゲのほ
とんどを切断しつつ作業をおこなっていき、なんとか枝おろ
しもすんで、主枝だけとなった樹の根元をチェーンソウで切
断し終わり、剪定枝を町指定のゴミ袋にすべて収納できた。

ほっ。

ただ、もちろん無傷とはいかない。この剪定切除作業の間に
は注意していたにもかかわらず、見逃したレモン樹のとげが
少なくとも8回いじょうは身体に刺さった。。ただ、さいわ
いにして 刺さった部分から流血するほどの惨事には至らな
かつたのは、勝手なことながら檸檬樹も事情を分かってくれ
たのだろう などと、おもいつつ作業を終えた。

翌日の早朝。

年末最後のゴミ収集日に檸檬樹の姿をおもいだしつつ、剪定
枝のはいった6袋のゴミ袋を集積所に出した。

そしてそれから数時間。 お茶休憩できる時間が取れたので、
きれいな実をつけていてくれたころのレモン樹をおもいだし
つつ、レモンの樹のあった場所にいってみたところ、地面に
まだみずみずしいレモンの枝葉が落ちているのが目に入った。

 ぁあ、この枝を一輪挿しにでも

と、思い出を懐かしみつつ枝を拾い上げた瞬間、拾った左手
の中指のはらに 葉の影に存在/あった5センチはあろうかと
いうほどの鋭いトゲが突き刺さり結果激しく流血させられた。 

檸檬樹はやっぱり許してはくれなかったのね・・・と感じつつ
自分は 映画私は貝になりたいの主人公・豊松の心情を おも
いおこした。


晴れ どうせなら ここはひとつ、スカーリーフット[​こちら​]
  みたいな、レモンののトゲの貫通しない鋼鉄の貝になる
  のがよいね/苦痛&苦笑。そしてこちら。トゲではなく
  その高さと巨大さから、苦労して選定したイチイガシの
  樹のはなしは ​こちら​。

51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染