被災地で大切となる 網&網戸。
海岸の有機物類から発生するハマベハエ類や、 動物の死体や排泄物、
生ゴミ、腐敗した魚介類などから発生するキンバエ類やクロバエ類は、
まだいい。屋外で生活するのが主体のハエ類ですから。
困るのは、
イエバエ です。
理由は、ヒトの生活圏である家屋内に侵入する性質があるからです。
侵入してきたイエバエは、まさに “五月蝿い と書いて、うるさい”
と読むほどに、ヒトとヒトの周囲にまとわりつきます。そのイエバエ
が、いろいろな災害時の被災地でいったん大発生するや、発生した土
地では、生活するにあたってある種のパニック状態が 繰り広げられ
ることになります。
じつは、私は このイエバエの大量発生時の恐ろしさを 2010年の
6月前後に体験しました。場所は・・・そう、
口蹄疫の災禍に見舞わ
れた宮崎県の児湯郡です。
家屋や庭に溢れる、ハエ・ハエ・ハエ。
[慣れるまでの最初のうちは]訪ねてこられた客の車のドアを開けた
ときにハエがとびだしてくる光景には驚かされましたし、〔
けしてお
おげさではなく〕
庭に干した洗濯物がハエで真っ黒になった光景に度
肝を抜かれたものです。
なぜに、これほどの大量の
ハエが 家屋に押し寄せるのでしょう。
もちろん、口蹄疫で処分された患畜と、その患畜の排泄物が発生源に
なっているのはまちがいのないことです。しかし、それだけではない。
じつは口蹄疫による家畜の
殺処分と、それに伴う畜舎の整理と消毒が
すむほどに、人家にハエが押し寄せていたのです。
そう、理由は
ハエの生活の場所が無くなっていったから 。
〔口蹄疫対策としての〕畜舎の整理と消毒がすめば、それまで畜舎な
らびにその周囲施設で生活していた
ハエは、新たな生活場所を求めて
移動するしかないのです。彼らだって生物。いったん生をうけたから
には、懸命に生きようと努力せずにはおられないわけですから。
そして、そのような体験をしたいま、台風や津波や大雨などの災害の
ニュースを見聞きするたびに思いをはせるのは・・・復旧や片付けが
すすむほどにイエバエが大発生してくるであろう
被災地のことです。
たとえば東日本大震災のハエ発生の例ですが
『
5月上旬に宮城県の被災地で採集されたハエ類に、イエバエは見つ
かってはいなかった』といわれていました。しかし6月の調査では、
『
国立感染症研究所の現地調査で、食中毒菌を媒介しやすい「イエバエ」
が急激に増えていることが22日、分かった。宮城県石巻市の市立湊
中学校の避難所では、捕獲したハエの9割超がイエバエだった』
という、ニュースなどが報道されはじめるという経緯をたどったのです。
わかりやすくいえば
屋外のガレキの撤去作業が大々的にはじまる
↓
屋外にあったハエの生活の場所が無くなる
↓
その場所にいたイエバエは
新しい生活場所を求めて移動
↓
ヒトのいる場所を目指して大挙襲来する
と、こういう順番です。ということで今回のブログのテーマであるハエ
対策ですが・・・
外回り撤去作業と同時に、イエバエが侵入しないようにすること
が大切となります。まずなによりもヒトの生活圏にイエバエが侵入しな
いような環境を作る。具体的には
ハエの屋内やテントなどへの
侵入を防ぐためには、網や網戸の設置を徹
底することが、もっとも簡単で有効な対策になることと思います。具体
的な施行例は
こちら。
さらに駆除。
口蹄疫災禍の児湯郡では、一部屋やひとりに1本のハエタタキが完備さ
れている場所もめずらしくありませんでした[
皆でかかれば効果アリ]。
◎ なんといっても、イエバエは、我が国の
腸管出血性大腸菌の伝播
にも関わっていたとの報告もあり、牛舎や屠畜場周辺で採集さ
れたイエバエからは、原因となった
病原菌が分離された例もある
のですから。あなどるべからずの害虫です。
「
夢で終らせない農業起業」 「
本当は危ない有機野菜」