『第一次大戟において、初期の独軍は、国境に向かって巧みに配置せられた鉄道網によって軍の集中を容易にし、仏軍に対して極めて有利な態勢をもって迫った。これに対して仏国の鉄道は、パリに集中して国境会戦には不利であった。この圧倒的な独軍の前に仏軍が存亡の危機に立った時、仏首相クレマンソーは叫んだ。「ガソリンの一滴は血の一滴にまさる」と。この一言ほど、補給の重要性を如実に物語る言葉はない。ついに独軍の攻勢を拒止し、逆に仏軍が攻勢に転じた一瞬、それはまた、仏軍の自動車輸送が補給戦に打ち勝った一瞬でもあったのである。』
これは「追憶 金澤輜重兵聯隊」の中で輜重兵(兵器弾薬・糧秣の補給部隊)の重要性を説いた記述です。しかしABCD(米・英・中・蘭)包囲網で石油を禁輸された日本政府は「石油の一滴は血の一滴」と国民と軍を煽り、英米に開戦・短期決戦に踏み切り、石油を求めて南方へ侵略したのです。
「給油できねば退陣」とシドニーの記者会見で述べた安倍首相は国民と野党に対して「石油の一滴は血の一滴」であると挑発に出たのです。
すなわち、インド洋でアメリカ軍の艦船に海上自衛隊が給油しないことは、日米同盟という「血盟」に反する行動であり、アメリカからの経済的な報復があっても良いのかという恫喝そのものなのです。
アメリカからの報復などあり得ません。今でさえ牛肉の輸入に対して日本国民は厳しく対処しています。これ以上アメリカは何を報復するのでしょう。
今こそ「軍事力による平和」ではなく、「非暴力の平和貢献」です。中村哲医師が行っているアフガニスタンへの井戸掘削や医療支援こそが日本がやるべき事と考えます。