その後、マタチッチのベートーヴェンからは、「第5」および改めての「7番」全楽章を聴いた。
「第5」もいい。
遅めのテンポによって、ベートーヴェンの記したすべての音に命が吹き込まれ、極めて血の通った音楽となっているのだ。
音質も、1962年の放送録音ということでいえば、十分なクオリティだと思われる。
何より、マタチッチの燃え立つ火が、そのままの音に収められているのが良い。
その後、マタチッチのベートーヴェンからは、「第5」および改めての「7番」全楽章を聴いた。
「第5」もいい。
遅めのテンポによって、ベートーヴェンの記したすべての音に命が吹き込まれ、極めて血の通った音楽となっているのだ。
音質も、1962年の放送録音ということでいえば、十分なクオリティだと思われる。
何より、マタチッチの燃え立つ火が、そのままの音に収められているのが良い。
巨匠マタチッチの初のベートーヴェン交響曲全集~1962年ミラノ・ライヴ! - TOWER RECORDS ONLINE
留守中に溜まりに溜まった野暮用を片付けなければならないというのに、まずはレコード観賞からとのこと(なんという意志薄弱!)で、件のベルリンのレコード店Robert Hartwigで入手したものから、カール・ベーム指揮シュターツカペレ・ドレスデンによる「フィデリオ」(1969年)を聴いている。選んだカートリッジは先代光悦メノウだ。
この録音は勿論グラモフォンのレコードやCDでは聴いたことがあったけど、エテルナ盤だとまるで別の音楽に聴こえる。
今までは、どこか乾いた響に乏しい音だと感じていたのだが・・・。
これぞSKDという、なんと深い音色にライヴのように活き活きとした息遣い! これぞエテルナ・マジック!!
レコード蒐集家垂涎の旧東独エテルナの黒レーベル、しかも、未開封盤。 まるで缶詰めを開けたように47年前の音が最新録音のように目の前で鳴っている、という歓びこそは何ものにも代え難い。
ライプツィヒでしこたまレコードを買っていたなら、ベルリンのお店を訪れることもなかったかも知れず、これもまた天のお導きと呼べるだろう。
因みに、この稀少な未開封盤も市場価格からみると破格の安値にてお譲り頂いた(具体的な金額は内緒)。
「ディーラーには適正な価格で売るけれど、君はアーティストだから特別だ」とのこと。
まこと、聖トーマス教会で指揮したということが、このバッハ好きの店主には水戸黄門の印籠のような絶大な効果を与えたようである。ありがたいことだ。
ベートーヴェン:歌劇『フィデリオ』全曲
ギネス・ジョーンズ(S)、ジェイムズ・キング(T)、エディット・マティス(S)、テオ・アダム(Bs)、マルッティ・タルヴェラ(Bs)、ペーター・シュライヤー(T)、フランツ・クラス(Bs)
カール・ベーム(指揮) ドレスデン国立歌劇場管弦楽団&合唱団
Robert Hartwig - Berliner Musikantiquariat
長岡の「マタイ」レッスンより帰宅し、今日はアンゲルブレシュト指揮のドビュッシー「ペレアスとメリザンド」を聴いている。
これは1963年3月12日 シャンゼリゼ劇場でのライヴ録音で、1962年3月13日(ドビュッシー生誕100年記念公演)収録のディスクモンテーニュ盤とは別録音である。
決定的な違いはペレアス役。1962年のジャック・ジャンセンに対して、当1963年盤はカミーユ・モラーヌ。簡単に優劣をつけるべきでなく、それぞれを味わうべきだろう。いまは感想を述べないでおく。
音盤は仏バークレーによる3枚組で、当時としては立派なステレオ録音である。
一般的には、市販第1号のバークレー盤をもってオリジナルとしてもよいだろうが、厳密にはその前にシャルランによる限定200組のプライヴェート盤が存在する。
バークレー盤ですら優秀な音質であるのに、そのプライヴェート盤にはどれほど鮮度の高い音がその溝に刻まれていることだろう?
なお、アナログ盤ばかりを追いかけてうっかり見落としていたが、同じくカミーユ・モラーヌのペレアス役のふたつの録音がCDとしてリリースされているようだ。
ひとつは、1951年のフィルハーモニア管とのBBCによるスタジオ録音(英テスタメント)。もうひとつは、1952年のシャンゼリゼ劇場ライヴ(仏ラジオ・フランス・クラシック)。
特に前者、フランス放送管とは別の持ち味を持ったフィルハーモニア管による演奏は気になる存在だ。
ドビュッシー: 歌劇「ペレアスとメリザンド」
カミーユ・モラーヌ(ペレアス)
ミシュリーヌ・グランシェ(メリザンド)
マリー・ルーチェ・ベラリー(ジュヌヴィエーヴ)
フランソワーズ・オジュア(イニョンド)
ジャック・マルス(ゴロー)
アンドレ・ヴェシェール(アルケル)
ジャック・ヴィニュロン(医者)
アンゲルブレシュト指揮 フランス国立放送管弦楽団および合唱団
1963年3月12日 シャンゼリゼ劇場
幻のレコード確保記念(現物を手に出来るのは年明け・・)に、今朝はその関連アイテムであるドビュッシー「ペレアスとメリザンド」のデゾミエール盤を聴いている。
ドビュッシー: 歌劇「ペレアスとメリザンド」
ペレアス: ジャック・ジャンセン メリザンド: イレーヌ・ジョアキム ゴロー: アンリ・エチェヴェリほか
ロジェ・デゾミエール指揮 交響楽団
仏VSM FJLP 5030/32
オリジナルはSPレコード20枚=40面(DB5161/80)に及ぶ、1941年ナチス占領下、ヴィシー政権時代のパリでの録音。
まさに、フランスの音楽家たちが威信を懸け、総力を挙げて完成させた大事業と呼べるものだろう。
このFJLP盤は1954年復刻の3枚組LPだが、フランスの香りと演奏家たちの誇りが一杯に詰まった音の記念碑で音質も奇跡的に豊穣である。
若い頃には、メリハリがなくて退屈に聴こえたドビュッシー唯一のオペラが、最近では胸の奥深くに染みる。
この陶酔的な美に一日中浸っていられたらどんなに幸せだろう。
このブックレットはそのSP初出時に附録されていた稀少品。恐らくはSP盤そのものが破損、または散逸してしまって、この印刷物だけが残されたのだろう。写真上が表紙で下が中扉である。
(スマホ撮影の写真のため、PCで観るにはサイズが大き過ぎますが、労力節約のためそのままで失礼します)