ヤノフスキ&NHK交響楽団の「ジークフリート」について書かなくてはならないのだが、まだ想いが熟さない。
というわけで、マリナーのお話。
写真は、オペラシティに於けるマリナー&アカデミー室内管コンサートを聴き終えた直後、新宿のディスクユニオンにて入手したシューベルト交響曲全集。
その前日、、迷った末に購入を躊躇ったものだが、コンサートの余りの素晴らしさにお店に急いだ次第。あんまり急ぎすぎて、新宿3丁目を通過して市ヶ谷まで行ってしまったほど(都営新宿線に「急行」があるとは知らなかった)。
「イギリスの音楽学者ブライアン・ニューボールド監修による初の全集」とのことで、「未完成」はなんと完成バージョン。ほかに、ピアノ・スケッチからオーケストレーションを完成させた曲が二つも加わり計10曲。かつて、バッハ「ブランデンブルク協奏曲」のサーストンダート版を録音した頃のチャレンジ精神が健在で嬉しい限り。ところで、この未完成ではない「未完成」の第2楽章でみせる魂の慟哭のような凄絶さが、マリナーのうちにあったこと、今更のように驚かされた。
一度、マリナーの本番を聴いた耳に、あのサウンドが蘇るようであり、今後、1曲、1曲を聴いてゆくのが楽しみである。
なお、この全集の録音は1981~84年ということで、最近のDSD録音などと較べるのは気の毒なほど低いフォーマットであるが、先日聴いたブーレーズの「ジークフリート」ほどの音質の不利は感じられなかった。
室内オーケストラのスタジオ録音とバイロイトでのライヴでは条件が違う、ということもあるのだろう。