福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

東条碩夫先生のコンサート日記

2017-05-06 16:01:16 | コーラス、オーケストラ
東条碩夫先生のコンサート日記にて、「カルミナ・ブラーナ」を歌った大阪フィル合唱団と関西フィル「ミサ・ソレムニス」ご出演の池田香織さんが称賛されております。
発声や呼吸法を根本から見つめるという、日々の地道な営みが評価されたことは、まことに嬉しい限りです。

しかし、歓んでばかりもいられません。「関西で一番」などという小さなことには興味ないからです。目標は大阪フィル合唱団を世界に通用する合唱団とすること。たとえば、ベルリン・フィルやウィーン・フィルの来日公演にお呼びが掛かるような力を身に付けさせたい。

その点に於いて、大阪フィル合唱団にはまだまだ為すべきことがあります。声そのものの美は勿論のこと、脱日本語的な深い母音の獲得(それでいて、日本語を美しく歌う)、深い呼吸法に基づく悠久のフレーズ感覚、正しい和声感覚による豊かなハーモニーづくり・・、道のりはまだまだ遠く、しかも平坦ではないのです。

「カルミナ・ブラーナ」からバーンスタイン「ミサ曲」、そして、来年9月のライプツィヒ聖トーマス教会に於けるバッハ「ロ短調ミサ」に向け、大きな飛躍を遂げなくてはなりません。しかし、近道はなく、日々の営みの積み重ねてゆくしかないのです。

2017・4・29(土)飯守泰次郎指揮関西フィル「ミサ・ソレムニス」 - 東条碩夫のコンサート日記


【(前略) 結局、この数日の間に聴いた関西の3つの合唱団の演奏の中では、やはり大阪フィルハーモニー合唱団のそれが抜きん出ていたような気がする。

 その一方で、ソロ歌手陣は見事な出来だった。特に女声2人は驚異的な素晴らしさで、澤畑恵美の優しさとふくよかさにあふれたソプラノと、池田香織の張りのある緊張感豊かなメゾ・ソプラノとは、合唱団の数倍も強い存在感を示し、輝かしく映えていた。指揮者を別とすれば、今日はこの2人で決まり━━と言っていいくらいだ。「アニュス・デイ」での池田のソロなど、圧巻だった。】

ラ・フォル・ジュルネ初参戦・成功裏に終了

2017-05-06 02:59:48 | コンサート

写真: 三浦興一

ご報告が遅くなりました。

ラ・フォル・ジュルネ初日、東響コーラスとの「ミサ・タンゴ」「第九」とも大成功に終わりました。

まずは、このような機会を与えて頂いた井上道義先生と東響コーラスさんに感謝致します。本当に幸せなレッスンであり、本番でありました。有り難うございました。

「ミサ・タンゴ」に於ける井上道義先生、三浦一馬さん、ガスパール・コロンさんとは、大阪フィル500回定期でも共演したお仲間ですが、オーケストラ、コーラス、ホールが違うことで、このスペイン語による祈りの歌の別の美しさを発見できたのは収穫でありました。また東響コーラスの卒団生という池田香織さんは、ミサ・タンゴの精神を全身で表現され、コーラスに対し範を示して下さいました。

 

写真: 伊藤英司

「第九」を演奏した5000人収容の「ホールA」の巨大な空間は、声楽にとって厳しいものでしたが、4人のソリスト、東響コーラス共々、立派に歌いきりました。

体調不良のガスパール・コロンさんは「ミサ・タンゴ」だけに賭けることになり、「第九」は急遽、与那城敬さんに交替するというアクシデント。当日のお昼頃に依頼を受けたという与那城さんは、もう本当に見事な声と歌唱を披露してくれました。テノールの又吉秀樹さんのトルコ・マーチにも痺れました。ソプラノの盛田麻央さん、アルトの下園理恵さんともども声、音程が美しいので、あれほど広い空間でありながら、四重唱が見事なアンサンブルとなっていたことは特筆に値するでしょう。いずれ、再共演したいと思える歌手の皆さんと出会えたこともよかった。

写真: 伊藤英司

この度は、「通りすがりの者」として約2ヶ月半、東響コーラスを指導することになりましたが、団員諸氏にはまるで乾いたスポンジのようにわたしの指導を受け入れて頂いたように感じます。本番では、福島カラーの滲むパフォーマンスとなっていたことは光栄であり、嬉しい限りです。しかし、ホールの音響ゆえ、その違いに気付いてくださった聴衆は多くはないかも知れません。もしあのパフォーマンスを、ミューザ川崎かタケミツ・メモリアルで披露していたとすれば、聴衆は腰を抜かしていたことでしょう。そのくらい圧倒的な歌声でありました。

打ち上げの席上でも、多くの団員より、「”通りすがり”とは言わず、またいらしてください」と声をかけていただきました。もちろん、当方としても、またの機会のあることをお祈りしております。

さて、大阪フィル「カルミナ・ブラーナ」から、ラ・フォル・ジュルネの激動の日々は終わり、これからバーンスタイン「ミサ曲」への日々が始まります。

その間、スウィング ロビンのコンサートやシュテファン大聖堂公演へ向けてのモーツァルト「レクイエム」レッスンも並行して取り組んでいきます。

※レコードで床の埋め尽くされたオーディオ・ルームの片付けを中断しての真夜中の執筆ゆえ、乱文をご容赦下さい。 写真の一部(撮影者クレジット有り)は、LFJ-Tokyo 2017公式Facebook頁より転載させて頂いております。

写真: 伊藤英司