福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

はじめてのみどり ショスタコーヴィチ篇

2015-10-23 23:38:25 | コンサート

はじめて生演奏をく五嶋みどりである。

ヤルヴィ指揮NHK交響楽団定期。曲目は、ショスタコーヴィチの協奏曲第1番。

しかし、今日はまったく批評ができない。批評するほどには音が聴こえなかったからである。

座席は1階のやや後方、2階右サイド席に近いところ。

管打楽器とコントラバスの音はバンバンくるのに、ヴァイオリンからチェロの音が霞のようなのだ。

反響板の外に出ているパートは音が散ってしまうのではないだろうか?

当然、指揮台の横に立つ五嶋みどりの音もボリュームを絞ったラジオのように精気がない。

音が聴こえないゆえに、その尋常とは言えない身振りばかりが印象に残ってしまう。

感情移入と共に首がもげるのではないかというほどの角度に傾け、魔法使いの老婆のように腰を曲げたり身を縮めたり、激しい場面では全身を痙攣させながら両足を宙に浮かせたりする。

まるで、恐山のイタコをみるようで、気味が悪いのだ。

常識的には、集中するときに筋肉を縮めるのは効率が悪いし、視野も狭まるのでよくないと思うのだが・・・。

しかし、終演後の拍手喝采は凄まじいものであったし、ステージ上のN響メンバーからの賞賛の拍手も儀礼的なものとは感じられない。

また、2階席センター前方で聴いていたFB友は、「ピアニシモが素晴らしかった。オケもヤルヴィも完全に負けていた」と感想を述べられている。

芸の世界ばかりは、逆立ちして弾こうが、寝て弾こうが、結果が全て。

というわけで、その演奏する姿には感心しなかったが、肝心の演奏の良し悪しが分からなかったため、評価は保留としたい。

NHKホールには本当に困ったものだ。

1972年の開業以来、音が悪い、悪い、悪いと言われつづけて、音響改善のための措置も行われる気配もない、というのは怠慢ではないだろうか?

今後は、聴きたい演奏会でもよほど座席に恵まれない限りは、見送ることにしよう。

 


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