福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

カラヤンのシベリウスにアナログ録音の凄みを聴く

2016-10-11 17:06:40 | レコード、オーディオ


久しぶりの在宅に、買ったまま放置されていたレコードを聴く。まずはレオニード・コーガンの1982年シャンゼリゼ劇場ライヴ。未公開録音による新譜である。

シューベルト、ブラームスも文句なしに素晴らしいが、入魂のバッハ:シャコンヌを経た後のパガニーニ、ファリャ、プロコフィエフに於ける突き抜けた世界に魅了された。

アナログ再興初期には色々問題のあった東洋化成プレスも安定してきたような気がする。

LP 1(Side A)
シューベルト:ヴァイオリン・ソナチネ第3番ト短調 D.408
LP 1(Side B)
シューベルト:幻想曲 D.934
LP 2(Side A)
ブラームス:スケルツォ
J.S.バッハ:シャコンヌ(無伴奏パルティータ第2番ニ短調BWV1004より)
LP 2(Side B)
パガニーニ:カンタービレ
ファリャ(コハンスキー編):スペイン民謡組曲、
プロコフィエフ:仮面~『ロメオとジュリエット』より

レオニード・コーガン(ヴァイオリン)
ニーナ・コーガン(ピアノ)

ライヴ録音:1982年10月20日/シャンゼリゼ劇場、パリ(ステレオ)
INA(フランス国立アーカイヴ)からの音源提供

(2LP)180g 重量盤/完全限定プレス/ステレオ/日本語解説付



つづいて、ヤンソンス&VPOの2016ニューイヤーコンサートに針を下ろすが、途中で飽きてしまう。どこまでも音楽的なのだけれど、微温的でどうにも心が震えてこない。

ヤンソンスへの物足りなさ。この春、ベルリン・フィルで聴いたときの初日の印象が蘇る。しかし、アルバムの2枚目、3枚目は未聴のため、結論は保留にする。後半の巻き返しはあるかも知れない。



カラヤン&BPOによるシベリウス「フィンランディア」の快演(怪演?)は、その欲求不満を晴らしてくれた。悪趣味なまでにバリバリと吼える金管群にゴリゴリと鳴りまくる低弦。これでどうだ!と威嚇するようなティンパニの轟き。

いやあ、スカッとした。
しかし、このアルバムの良さは豪快さだけにあらず。「エン・サガ」での精妙なアンサンブルは清涼剤となり、トゥネオラの白鳥のコール・アングレのソロ(ゲルハルト・シュテンプニク)はまさに人生の憂愁の極み。

30年前のボクなら、このフォルティシモを無意味なもの、空虚なものとして、受け入れなかったも知れない。しかし、いまは大歓迎だ。何事もここまで徹底されれば、尊敬に値する。もっとも、これをブルックナーでやられたらひとたまりもないのだが。

音もデジタル最新録音のヤンソンスより、アナログ成熟期のカラヤン(英EMI 白黒切手レーベル)が文句なしに良い。
音質には不利な筈の4チャンネル用プレスにも関わらず、こんなに差がつくとは、アナログ録音の凄さに改めて驚かされた。

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