福島章恭 合唱指揮とレコード蒐集に生きるⅢ

合唱指揮者、音楽評論家である福島章恭が、レコード、CD、オーディオ、合唱指揮活動から世間話まで、気ままに綴ります。

サー・ネヴィル・マリナー モントゥーの魂を受け継ぐ青春の音楽!

2016-04-09 22:35:20 | コンサート

今日はひとつ、マリナーが舞台袖からステージに登場したときに聴衆から聴衆へと波のように会場いっぱいに広がっていった爽やかな驚きについて語っておきたい。

誰が間もなく92歳を向かえようとする老巨匠が、あんなにも颯爽と足取りも軽く、そして穏やかな微笑みさえ湛えつつ指揮台に向かう姿を想像しただろう。

指揮台への段差さえまったく感じさせないマリナーの若いエネルギーに、会場の空気は一気に華やいだのである。

そして、そのささやかな感動は、プロコフィエフ「古典交響曲」の最初の和音とともに驚愕へと変わった。

なんと輝かしい生命力に充ちた音だったことか。

すべてのフレーズが人生の春を謳歌するように息づき、リズムは若きアスリートの鼓動のようであった。

そう、そこに繰り広げられる音楽は、老巨匠というイメージから連想される枯淡の境地とはまったく無縁のまさに青春なのである。

タクトは常に明晰で、コンサートマスターが指揮者を補助するような仕草もまったく不要。

「まるでモントゥーだな」

わたしの胸に浮かんだ想いは、これであった。

もちろん、モントゥーの指揮姿を生で拝んだことはないけれど、その虚飾のなさ、音楽の明瞭さ、そして人格から滲み出る暖かさなど、マリナーの師モントゥーを連想せずにはおれなかったのである。

このコンビによる演奏を一度しか聴くことの出来ないのは残念であるが、一度聴けたことは幸い。

なにか辛いことがあったとき、今日の演奏を思い出せば頑張れそうな気がする。そんな素敵なコンサートであった。

 

曲目
プロコフィエフ:
  交響曲 第1番 ニ長調「古典交響曲」op.25
ヴォーン・ウィリアムズ:
  トマス・タリスの主題による幻想曲
ベートーヴェン:
  交響曲 第7番 イ長調 op.92
アンコール
モーツァルト:
     歌劇「フィガロの結婚」序曲
アイルランド民謡
  ロンドンデリーの歌
 
サー・ネヴィル・マリナー(指揮)
アカデミー室内管弦楽団

4月9日 14時
東京オペラシティ コンサートホール

 

 


マイソニックラボとZYXのコラボレーション

2016-04-06 00:00:43 | レコード、オーディオ

マイソニックラボのモノーラル・カートリッジ Eminent Solo。

第一印象こそ良かったのだが、我がシステムでの籠もり気味の再生音に不満の募る日々が続いていた。

こんな筈はなかろう、と意を決し、シェルを純正からZYXに交換したところ、音に生命力が宿った。

高域に得も言われぬ艶が出てきたのは何より。

ここまで変わるなら、リード線もZYXその他に交換したいところだが、ここは焦らず、エージングが進んでどんな変化が訪れるかを見守ることとする。

因みに、本日聴いたレコードはこちらの新譜(2枚組)からベームのブラームス「1番」。

 

【LP-1】

・ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68

カール・ベーム(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ライヴ録音:1954年11月6日/楽友協会 大ホール(ウィーン)

【LP-2】
・ブラームス:交響曲第4番 ホ短調 Op.98

カール・シューリヒト(指揮)、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

ライヴ録音:1965年4月24日/楽友協会 大ホール(ウィーン)

http://www.kinginternational.co.jp/classics/altlp-08990/

ベームのブラームス「1番」は、ベルリン・フィルとのスタジオ録音という決定盤があるが、演奏そのものの凄まじさはこちら。

50年代のウィーン・フィルのなんという音! なんというアンサンブル! そして、ベームによる剛毅な音楽づくり。

録音状態は、第2楽章に音の揺れはあるものの、概ね良好。

マスタリングも上手くいっているのではないか?

少なくとも、かつて、オルフェオレーベルからリリースされた一連のライヴものの「低音のない」マスタリングとも一線を画している。

その後は、メンゲルベルクのスタジオ録音などでEminent Soloの音を楽しんだ次第。

シューリヒトの「4番」を聴きたいところだが、それは次回の楽しみにとっておこう。

 

 


スタインウェイでアカペラ・レッスンという贅沢

2016-04-05 11:37:21 | コーラス、オーケストラ


昨夜は倉敷市芸文館練習室にて、女声合唱団 KIBIのレッスン。部屋に入って驚かされたのは、置かれているピアノ。随分存在感のあるグランド・ピアノだなと近付いてみると、なんとスタインウェイDモデル。あちこちキズだらけ、年季が入っているとはいえ、練習室にスタインウェイの置かれている例は珍しい。さすが、文化の街倉敷!

せっかく立派なピアノがあったのに、昨夜はアカペラのみのレッスンということで、ピアニストは不在。出番の少なかったのは惜しまれる。それでも、そこに置かれているというだけで、音楽的な効果はあったと思う。



ところで、昨日は月曜日ということで、大原美術館をはじめとする文化施設はすべてお休み。昼食後、アテもなく岡山駅周辺を散歩していて出会ったのが、西川緑道公園の桜。東京でし損なっていた花見を済ますことができたのは良かった!




ベームの「ナクソス島のアリアドネ」

2016-04-02 00:32:31 | レコード、オーディオ

ブックオフにての、今日の収穫。
持っているようで、まだ持っていなかった名盤。
ドイツ・プレス3枚組、なんと500円! 
そこそこ汚れていたけど、クリーニングして再生したところ、素晴らしい音でした。

やっぱり、ベームの「ナクソス島のアリアドネ」は、良いですねえ。

駐車無料券を貰うため、店内を覗いたところ、出会いがありました。とはいえ、稀少盤と言うほどではなく、オークション等でもよく見かける品ではあります。

R.シュトラウス:歌劇『ナクソス島のアリアドネ』全曲
DG 2709 033

 ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(音楽教師)
 タティアナ・トロヤノス(作曲家)
 レリ・グリスト(ツェルビネッタ)
 ヒルデガルト・ヒレブレヒト(アリアドネ)
 ジェス・トーマス(テノール歌手、バッカス)
 バリー・マクダニエル(ハルレキン)ほか
 バイエルン放送交響楽団
 カール・ベーム(指揮)

 録音時期:1969年9月20-28日
 録音場所:ミュンヘン、ヘルクレスザール
 録音方式:ステレオ(アナログ/セッション)

ところで、ブックオフで、クラシックのオリジナル盤を買い取ってくれる模様! 皆さんお急ぎください。

ボクはあとから買いに行きます(笑)。