明鏡   

鏡のごとく

ノモンハンのじいちゃん

2015-04-20 21:05:16 | 詩小説
目に白い膜がある
じいちゃんがおったと
四年前まで生きてたおくさんがなくなって
ひとりでいきとったと
おくさんはじこでなくなったと
じいちゃんは
四年前の相談ばしたくて
人を探しとったと
小雨も降りようのに
ひとりでつえばついて
あるきまわりよったと

ノモンハンからいきてかえってきたと
じいちゃんがとつぜんいうと 
かえってきてから
だれともうちとけんかったけど
おくさんがおったけん
なんとかやってこれたというと
じいちゃんがまばたきせずにいうと
じぶんもじいちゃんのごと
せんそうのなかにおったけん
じいちゃんのごとあったと

いまもそれはかわらんと
だれもしらん
そげなことしったこっちゃないけん
それがどうしたと
なるだけやからね
じいちゃんのごとあったと
いまも
じいちゃんのごとあると
かぞくにいってもわからんと
じぶんにだけしかないみたいなきになると
めがなみだとやにでにごってくると
百歳にもうすぐなるっていいよった
じいちゃんのごとあるとよ