明鏡   

鏡のごとく

「門と肉」

2017-12-19 21:23:36 | 茅葺


茅葺の「門」の上のこけを毟り、古茅を剥ぎ取り、ついには竹とむき出しの木だけとなる。

これからまた、「肉」付けをしていくように、記憶を再生するように、茅を葺いていくのだ。

我々は、記憶の「門」を開いたり閉じたりしながら、自分の記憶の襞を押し広げられるように、幾重にも重なっていくものを生み出していくのだ。

と、皆でご馳走になった美味しい「肉」を食べながら、そう思う。

「柚子湯と杉皮と」

2017-12-19 21:20:56 | 茅葺
長い竹に揺すられて
柚子が暗闇から落ちてきた
一つ二つ三つ四つと
砂利の上を転がった

目の前に転がっていく幸いを拾い集めるような
夢が移ろうような
冬の寒さに耐えていた
かすかな痛みのような苦い匂いを拾い集めるような

我々には寒い冬の中であっても
帰ってから柚子の浮かんだ湯の中にたゆたう
干からびたかさぶたが剥がれるような
すっぱい果汁を絞り出すような幸いがそこにもあった

今日の一つの幸い
湯布院の現場で目串を使い杉皮を並べるのを拝見できた
本物に出会えて
そこにいることの幸い

戦後 
日田で林業が盛んになるにつれ
杉皮を利用する機会が増え杉皮葺も自ずと始まったのではないかと教えてくださった
90歳を軽く超えたおじいちゃんがいらっしゃったが

我々は
一つ一つ杉皮を並べ
一つ一つの剥がされた皮を
もう一度 屋根の上で生きてもらえるように並べていくのだ