国連前に来たのは夕方のことである。
アムトラックで四時間余りを過ごしてやってきた我々は、疲れ果てていたが、夕食を探し、あてもなく、異国の街を歩いていたのだった。
3ブロックほど、歩いただろうか、突然、国連前に行き着いた。
ちょっと、小高いところから、国連の腰辺りを見ているような。
国連本部の足元には、旗をはためかすためのポールが顔のない胴体のように虚しく並んでいた。
国連前の一息。
真下には階段があり、ちょっとした木々が茂っていた。
よく見ると、黒い鞄が木陰に置いてあった。
誰かの置き忘れたものにしては、でかすぎる。
あの中に、奪われたものが入っているのか、それともすっからかんなのかは分からないが。
もしかして、つるされることもなく、なくした顔がそろって入っているのかもしれない。
などと思いながら、カバンの中身を確かめることもなく、そこを立ち去った。
アムトラックで四時間余りを過ごしてやってきた我々は、疲れ果てていたが、夕食を探し、あてもなく、異国の街を歩いていたのだった。
3ブロックほど、歩いただろうか、突然、国連前に行き着いた。
ちょっと、小高いところから、国連の腰辺りを見ているような。
国連本部の足元には、旗をはためかすためのポールが顔のない胴体のように虚しく並んでいた。
国連前の一息。
真下には階段があり、ちょっとした木々が茂っていた。
よく見ると、黒い鞄が木陰に置いてあった。
誰かの置き忘れたものにしては、でかすぎる。
あの中に、奪われたものが入っているのか、それともすっからかんなのかは分からないが。
もしかして、つるされることもなく、なくした顔がそろって入っているのかもしれない。
などと思いながら、カバンの中身を確かめることもなく、そこを立ち去った。