庭の小鳥(後篇)

 そのうち、庭のみかんに気づいたヒヨドリが来るようになった。ヒヨドリはみかんを房ごと持っていってしまうので、ヒヨドリが来るとメジロはみかんが食べられない。もちろんヒヨドリにも食べてもらって結構だが、みんなが食べられるようにするにはどうすればよいかと考えた末、みかんをやめて、小さなコップに入れたジュースを置くことにした。ジュースにすれば、丸ごと持っていくことはできないし、メジロはからだの大きなヒヨドリがいないときに飲めばいい。100パーセントのオレンジジュースはメジロの口にあったようだ。
 警戒心の強いヒヨドリに比べて、メジロは好奇心が強いのか、あまり人を怖がらない。脅かさないようそっとメジロの木の横を通り洗濯物を干していると、逃げずに枝の上から見下ろしている。
 今ではみゆちゃんが庭を闊歩しているのであまり来ることはなくなったが、以前はキジバトもやって来た。庭に舞い降りて地面の上の何かをついばんだり、落ち葉の上で羽をふくらませて休んだり。スズメが来れば米をまいてやる。シジュウカラや、お腹の赤い、名前の知らない鳥が来たこともあった。町の中でありながら、意外と多くの鳥がいる。
 メジロが飛んでいったあとの庭に、みゆちゃんが降りていった。下生えの陰に隠れて、メジロが来るのを待つ気らしい。この寒い中じっとして、猫の根気のよさにはほとほと呆れる。
 根元がすでに腐っていた沈丁花の木は、みゆちゃんが登って倒してしまいもうないが、この冬もまた、鳥たちのためのちょっとした食べ物を置いておこうと思う。



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