春野菜

 守山の菜の花のことを書いたけど、季節柄、店の野菜売り場にも菜の花が並んでいる。今しか食べられないものだから、機会があるごとに買って、からし和えにしたり、ベーコンと炒めたりして食べる。旬の食材というのは、値段的に求めやすいばかりでなく、栄養価も高いのだと聞いた。また、たとえば、冬の大根には体を温める作用があったり、反対に夏野菜の茄子には体を冷やす作用があったりと、その季節に合った効用があるらしい。
 春野菜が好きである。名前がきれいだし、春野菜が店に並びはじめると、まだ外は寒くても、もうすぐ春なのだなと、心がわくわくする。春キャベツをあさりと土瓶蒸しにしたり、豆ご飯を炊いたりする。
 菜の花とか春菊とか、子供の頃は苦味やくせが嫌で食べられなかったものが、今はおいしい。ほうれん草はいまだに苦手である。茹でたほうれん草を絞って水気を取っていたら、ほうれん草の汁が手の指の傷にひどく沁みて、ますます嫌になったりする。ほうれん草も春菊も、そろそろ旬は終わる。
 水を弾くような菜の花をボウルで洗って、豊かな土で育てられた瑞々しい野菜が、市場に出回って簡単に手に入るというのは、幸せなことだとつくづく思う今日この頃である。
コメント ( 6 ) | Trackback ( 0 )