猫トイレ考

 犬にくらべて、猫のトイレの躾けはずっと苦労がない。どこどこで用を足せと口で言っても犬にはわからないから、叱ったりほめたりして躾けていかなければならないけれど、猫の場合、初めて家にやってきた子猫を、砂の入った箱の中にそっとおろして、ここにこんなものがありますよと教えてあげれば、たいていの猫は、用が足したくなったらそこへ行ってするようになる。これは、猫には砂地で用を足す習性があるからだけれど、この習性は生まれつきのものなのか、母猫に教えられるものなのか。
 用の足し方にもいろいろあって、よく砂を掘る猫や、掘らない猫、後始末をしない猫などさまざまである。
 たとえば実家のデビンちゃんは、執拗に掘る。なかなか納得のいく形にならないのか、そこらじゅうを掘り返すので、取り忘れていたおしっこの固まりはばらばらになり、埃は舞い上がり、角度が悪ければ砂が扇状になってじゅうたんの上に飛び散る。埃が飛ばないように、シリカゲルの砂を試してみたこともあるが、肉球のあいだにシリカゲルの粒を運んで部屋にばら撒くのでやめた。結局、試行錯誤の末、ヒノキの猫砂とおからサンドを1対1の割合で混ぜると、一番埃が立ちにくいという結論を得た。もちろん、フードのついた猫トイレを使っている。
 そのフードの入り口から体を外に突き出して、トイレの縁に足をかけて大便をするのが、トラ猫ネロとちゃめの共通のスタイルである。そしてどちらもうんちが済むと、トイレの外のじゅうたんをがりがりと一生懸命ひっかいているけれど、なんら覆いかぶさるものがあるはずもない。
 うちのみゆちゃんはというと、やはり用を足したあと、トイレの周りに置いてある砂の袋をかき込もうとしたりしている。
 トイレの仕方ひとつをとっても、さすが、猫は個性豊かである。
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