猫メール届きました(前篇)

 3年くらい前に私が保護した子猫の里親になってくれたK君から、メールが届いた。子猫がK君にもらわれていったあとも、ちょくちょくその後の話は聞いていたのだけれど、行き違いがたび重なって、いままで太郎の写真を見せてもらうことができなかったのを、今回メールに添付して、近況を綴って送ってくれたのである。
 いわく、太郎はなかなか面白い猫で、K君と楽しく過ごしている。その面白いところの例をいくつか書いてくれているのだけれど、確かに面白い。私が知っているどの猫にもない性格である。
 ひとつには、太郎は風呂場の水滴を研究している。K君がお風呂からあがったあと、決まって浴室にとことこ歩いていって浴槽に腰を下ろし、底に溜まった水の動きを観察する。K君が話しかけようとも無視するほど熱心に、うつむき加減で、真剣な目をして、小さな水滴が集まって大きくなり、ゆっくりと流れていくさまを見つめている。水滴の研究は、睡眠を中断してまで行うというから、その情熱は相当である。K君自身、大学院で研究をしていた人だから、ご主人様を見習っているのかもしれない。(つづく)
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