なごり雪

 お正月に母のくれた南天がながくもって、つい最近まで部屋にいろどりを添えていたが、さすがに、そろそろ見劣りがしてきた。外を歩けば、どこからとなく沈丁花が匂ってくる季節になったので、家の中の、冬の最後の名残ももう終わりかと思ったら、日曜には雪が降った。
 南天の赤い実に雪が白く降りかかるさまなど、しんしんとして好きなのであるが、今年は暖冬で、冬らしい景色も見られなかった。3月になって季節が戻って、今さら雪が降ったとしても、降り積もる南天の実はもうない。
 2月には春の陽気だったから、もうこのまま春になるものとばかり勝手に思いこんでいたぶん、いまさらの寒さが身に沁みる。来週こそは春が来るかと、週間天気予報を見てみるが、気温の欄に並んでいるのは、肩をすぼめたくなるような数字ばかり。足りなかった冬の寒さは振り替えてもらわなくても結構だから、はやく春をよこして欲しい。
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