かいなもち「いっぷくちゃん」(奥飛騨旅行記)

 白山スーパー林道まであと10キロ足らずというところでお昼時になって、そろそろお腹も空いてきた。「瀬女」という道の駅があったので、お弁当でも売っていないかと車を止めた。
 昔の農家風の天井の高い土産物屋の中はしんとしていて、客は年配の男性客がただひとり、店番のおばさんはレジの向こうで静かにたたずんでいる。
 おせんべいとか漬物とか土産物ばかりで、お弁当とかおにぎりみたいなものは置いていないようだった。この先、店もあまりなさそうだし、しばらくのあいだのお腹の足しにと、なにか饅頭みたいなものでも買っていこうかと思って店内を見ていたら、店に入ってすぐのよく目立つところに、「石川県推奨」というシールのついた真四角い竹の皮の包みがあって、中はおはぎだというような説明が書いてあったので、買ってみることにした。
 包みの大きさからして、おはぎが四つほど入っているのだろうと思って開けてみたら、中からは予想を裏切って、巨大なおはぎがひとつ、にこやかに笑うおばちゃんの似顔絵のついたおてふきと一緒に、ずしんと出てきた。
 夫と二人で四分の三ほど食べたところで、お腹がすっかり膨れてしまった。腹持ちのよさも抜群で、その後しばらくのあいだ、巨大おはぎが胃の中に鎮座しているかのようで、ちっともお腹が空かなかった。
 この巨大なおはぎの名称は、「かいなもち いっぷくちゃん」である。
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