【本】E.B.ホワイト「シャーロットのおくりもの」

 子供向けの本である。どのくらい子供向けかというと、農場の豚や羊といった動物たちが、鼻を突き合わせて会議をする、というくらいに子供向けである。
 でも面白い。作者は、ねずみの映画「スチュワート・リトル」の原作者。この「シャーロットのおくりもの」も映画化されている。
 物語の核となるのは、蜘蛛と子豚の友情である。クリスマスに殺されてしまう運命にある子豚のウィルバー。蜘蛛のシャーロットは機知を働かせ、蜘蛛の糸でメッセージを綴ることによって、親友であるウィルバーの命を救う。
 友情モノというと、たとえば、大人向き小説で、大人の人間同士の友情をテーマにしたものなんかだったら、無垢な子供の心などとっくの昔になくしてしまった自分は、裏に何か利害関係でもあるんじゃないかと疑って、ひねくれた読み方しかできないと思う。だけど、動物たちの友情なら、素直に受け止められる。そこには、裏も表もない。それに、子供向けの本は、たいていがハッピーエンドで締めくくられるからいい。
 普段は、息子が昼寝をしているあいだに、夕食の準備をしたり、ブログを書いたりするのだけれど、今日は、それらを放っておいて、「シャーロットのおくりもの」を最後まで、目頭が少し熱くなりながら、読み耽ってしまった。


『シャーロットのおくりもの』E.B.ホワイト
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