死ぬ演技っていうと、
「ぐったり」ってイメージがありますよね。
ところが、それだと意外にうまくいかないんです。
死んでるからって、
完全に脱力しちゃダメなんですね。
というか、
少なくとも私は、完全脱力はダメなんです。
実際にやって頂くとわかるんですが、
(って、そんなこと勧めてよいのか??)
体全体を脱力してしまうと、
息を吸うとき、
どうしても深く吸いこんじゃうんですね。
そうすると、死体の胸がフワーッと浮き上がって、
死体ウォッチャーさんを喜ばせてしまう。
なもので、両手両足だけを脱力して、
呼吸は半呼吸と呼ばれる浅ーい呼吸にします。
これがたぶん一番、体が動かないと思っています。
・・・って、こんな話、面白いかなぁ。
書いてて不安になってきた・・・。
でも書き始めちゃったので、
とりあえずお付き合いくださいまし
で、話を続けますと、
半呼吸はいいんですが、これは長くもたないんです。
せいぜいもって10分くらい。
やってみて頂くとわかりますが、
(何でもやらせていいのか!)
だんだん息苦しくなってくるんです。
だから死んでて一番ありがたいのが、
すがりついて泣いてくれたり、
抱き上げてくれたり、
・・・つまり、動かしてくれること!
その間に、どさくさまぎれに「ぶっふぁー」と深呼吸して、
「あ~~、生き返ったぁ~」とほ~っとします(笑)
でもねぇ、1時間も死んでいると、
そうそう動かしてもくれないわけで、
まぁ、さすがの死体ウォッチャーさんも、
そうずっとは見てられなくなるので(当たり前!)
体の負担も楽にはなるのですが、
じーーっとしているうちに、
なんとなく記憶がとんで・・・、
なんてことも・・・ないことは・・・なかった。
だって、寝不足と疲労のピークで、
ゴロンと横になってるんですからねぇ、
そりゃぁ、だんだん、
ぼーーーっと、気持ちよくもなりますよ。
でも、大丈夫!
さすがに、完全に寝入ることはありませんでした。
まぁ本番中ですから、当然といえば当然。
でも、その芝居には、もうひとつ、
寝るに寝られぬワケがあったんです。
(つづく)