夏休みも終盤に近づいた8月最後の週末、そのサプライズは現実のものとなった。長年我々の前に姿を現さなかったロクイチこと、EF5861号機が往年の姿そのままに登場した。毎年催されている、JR東日本の大井車両センター、夏祭りイベントでの超目玉企画だったのである。今回は日の丸を掲げた御召装備そのままのお姿で、真夏の青空のもと、まさに晴れ姿のご披露となっていた。
十数年ぶりに見るロクイチの姿は、やはり圧倒的な存在感であり、隣に鎮座する機関車達が気の毒に思えるくらい、撮影に来ているファンの目をくぎ付けにしている。アントンKの目にも、ロクイチの姿の背景に、撮影仲間とロクイチを追いかけ東奔西走した青春の日々が浮かび上がり、どこか感慨にふける一時を味わうことができた。同時に、ここまで継続して趣味活動ができたことに感謝しながらシャッターを切ったのだった。しかしこんな思いからか、パンドラの箱をもう開けなくていい、という切なる思いも沸いてきたのである。
今の平成時代のお若いファン達にとっては、EF5861号機というだけで、ある意味神話として語り継がれ、現代の情報化社会も手伝って、加速度が付きより助長されて熱狂していく様子が目に浮かんでしまうのある。現代は、あの時代とはまるで変ってしまったと言わざるを得ない。どこか寂しく思えてしまうのだ。
掲載写真は、今回の模様は外して、前世紀の末、まさに世紀末に復活運転となった「さよなら20世紀踊り子」号。最後のゴハチの特急列車として運転されていた臨時「踊り子」号だったが、その末期の運転でもあったと思う。この時もかなりの人出だったと記憶しているが、もし現代にこのような列車が蘇ったら、想像を絶することになるのだろう。
2000-12-09 9027ㇾ EF5861 さよなら20世紀踊り子 JR東日本/東海道本線:東戸塚付近