古い機関車の画像が続く。またEF16。
三国峠を越えるEF16の後継機の噂話が伝わってくる頃、毎冬スキーヤーに混じって上越国境を目指していた。当時は、デッキ付きの茶色の電機が消えるとか、ましてやここを走るゴハチが無くなるなんて思いもせず、単純に雪の中を走る列車の撮影がしたくて行動していた。おのずと行動範囲は限られていたが、毎週窓から眺める風景を見ながら、撮影地を決めてそのポイントへと出向く醍醐味は、その後の撮影の教訓になったことは疑いもない事実だろう。とにかく雪は、魔物とはよく言ったもので、積雪は辺りの景色を一変してしまう。その年の積雪量でも話は変わってくるだろうが、山の天気と相まって、素人の都会育ちの甘ちゃんアントンKには過酷だった印象が今でも残っている。晴れ渡った景色に足取りも軽く、撮影地に急いでも、ほんの一瞬にして暗黒になり、一気に吹雪き視界が無くなる。あの空は何処へ行ったのかと、何度空を仰いだか数知れない。そんな理想や想いを抱きながら、撮影地を目指して歩くが、そのほとんどの場合が、裏切られた経験の方が多いはずだ。逆に言えばほんの数パーセントの確率で、想い通りになった時の印象が強烈に脳裏に残り、今まで撮影が継続されてきたのだとも思っている。
今回は、代表的なスキー列車だった石打スキー2号のEF16とEF58の重連運転。石打から水上までは延々20パーミルが続くため補機が連結されていた。もちろん当時のメインターゲットは、この重連になるスキー臨だったが、その時の天候により臨機応変に撮影ポイントを決めていくことも、この頃身をもってわかってきた時代だった。
1980-02-10 8702ㇾ EF1623+EF58120 12系10両 上越線:越後中里付近にて