イベント会場で、衆議院議員の石破茂氏の特別公演を聞いた。
「鉄道を語る」と題した講演は、予定よりも延長されてその思いを熱く語られていたのが印象的だった。自ら「乗り鉄」であり同時に「飲み鉄」であると述べられ、故郷へ帰るために乗車した「出雲」は、急行時代から数えても実に1000回以上だという。あの石破氏が、10系客車、大好きな20系客車の乗車体験などを嬉しそうに我々に語る姿は、テレビで観る石破氏ではなく、我々と何ら変わらない一人の鉄チャンだった。アントンKの尊敬する先輩の同期でもある石破氏だから、高校進学で鳥取から神奈川へ一人上京した思い出話は、とても身近に感じられ目頭が熱くなってしまった。上京して最初のうちは友人もなく、小遣いもなく、寂しい想いになった時、東京駅に行き、20系の特急「出雲」のホームに立って列車を見送ったそうだ。ホームで談笑する乗客からはお国の方言が聞こえてきて郷愁に浸ったそうなのだ。そこにはまさに旅情が感じられたのだろう。この列車に乗れば、そのまま故郷へと帰れる。車窓からの四季おりおりの印象的な景色をぼーっと眺めながら行く列車旅は、夢とロマンが満載だったと語っていた。
アントンKには田舎はないが、列車に乗りレールを眺めていると、黄昏ながらどんな街まで繋がっているのだろうと思い巡らせたことが何度あったことか・・こうした忘れてしまいそうな想いをまた感じて旅したいと思い直している。
そんな話から、今回はブルートレイン特急「出雲2号」を掲載。石破氏の話の中に出てきたDD54の「出雲」は見たことがないが、その後のDD51やEF65P、EF65PFけん引の晴れ姿は、何度となく撮影出来て今でも印象に残っている。これは、影と日向とのコントラストを利用して、列車前面を輝かせようとトライした時の画像。トンネルを抜け暗闇から一瞬日が差した65PFは、いつもより凛々しく見えた。
1997-05-28 1002ㇾ EF651115 出雲2号 JR東日本/東海道本線:保土ヶ谷-戸塚