国鉄からJRへと分割民営化されてから、30年以上の月日が流れ、各社とも全てにおいて大きく変貌を遂げてきたが、その最たるは貨物会社ではないだろうか。道路交通網の整備や発展は、旅客会社でも大きく打撃を受け時代の波に飲み込まれていったが、貨物もその例外ではなく、年々貨物扱いをする駅施設は廃止、統合され、数を減らしてしまった。アントンKが最もショックを受け印象的だったのは、やはり新鶴見界隈の巨大なヤードの廃止、同じく与野と大宮感に広がっていたこれまた広大なヤードが廃止されたことだ。時間とともに、線路は剥がされ形を変えていく様を目の当たりにして、新しい時代の到来とともに一抹の寂しさを感じたものだった。同じことが、現在の品川ー田町間でも言えるが、当たり前の光景が消えていく寂しさは、いつの時代も変わらない。まあそんな事を思うなんて年齢を重ねた証なのだろう。
近年、貨物列車にも新たな動きが見られ、機関車ファンからも大いに注目を集めている列車が存在している。専用コンテナを連ねた一企業専用列車であり、トヨタロンパスEXPがその口火を切ったのはご承知の通り。現在では、福山通運や西濃運輸等々、専用列車が本州を駆け巡っている。おそらく廃止された夜行列車のスジを使用して高速便を走らせ、安価で安全、大量輸送の鉄道のメリットを最大限に生かして誕生した列車たちなのだと思っている。おのずと好調高評価との内情が漏れ伝わっているから、今後もこの手の列車を増発していくのではないかと推測する。アントンKにも、とても新鮮に映り、色々な機関車との組み合わせで、日ごろ撮影を楽んでいるところで、今後も新たな撮影意欲を掻き立てる被写体になっていくことだろう。
ここでは、昔の専用貨物列車から、先般引退が伝わってきたEF60のけん引する自動車運搬列車を上げておく。昔はク5000という自動車を2段にして運搬する赤色の貨車が存在した。全国で見られたと思うが、いつしか消えていって忘れ去られてしまった貨車かもしれない。そのク5000を長大に繋いでやってきたEF60だが、いつもは目立たず地味な機関車も、この時ばかりは威風堂々としてとても力強い印象だった。
1981-03-20 5851ㇾ EF6050 山陽本線:小野田-厚狭にて