人生アラカルト

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水上さん、嶺北の思い出

2017-12-05 22:21:44 | 80はミステリーゾーン
記者現役時代、福井県の武生に
駐在した。

ある時、作家の水上勉さんが武
生に来た。武生市が講演で呼ん
だ。

水上さんとは以前、新聞に連載
していた『飢餓海峡』の原稿を
受け取ったことがあった。

『飢餓海峡』といえば、映画に
もなった。水上さんの代表作で
もあり、映画は三国連太郎主演
で大ヒットした。

水上さんは連載中の『飢餓海峡』
の原稿を朝日の本社に送ってくれ
るよう私に託した。

いきさつは忘れてしまったが、何
日間分の読者が待つ新聞原稿を受
け取って、ものすごい責任感にと
らわれたものだ。

無造作に封筒にいれたあったのを
つい見てしまった。

どこで書いたものだろう。
大変な原稿であった。

大変というのは加筆、挿入で原稿
用紙は真っ黒であった。

私には判読は無理。

水上さんのすごい原稿をみて(読
めない)、大いに感心した。

聞いた話では、水上さん専門の編
集者か印刷関係の職人がいたそう
だ。

いつも思うのだが、昔の人たちと
いうのは筆ですらすら文を書いた。

この間も博物館で「国宝」展があ
り、様々達筆な書が展示してあっ
た。

まず、読めない。

国宝と同じ扱いはしないが、作家
の字は芸術的であると思う。全体
が絵の様で、天声人語氏も開高健
さんの原稿も絵画のようである、
と書いている。

いま、原稿用紙で書く人はどれく
らいいるのだろうか。

多分、パソコンで打つ人が多いだ
ろうが、そうなるとほぼ完全原稿
で、加筆、挿入の文字は分からな
いか。



天声人語氏も悪筆と告白

2017-12-05 04:58:30 | 80はミステリーゾーン
「いばることではないが、字の
汚さには自信がある」文章のお
手本にもなっている天声人語氏
が書いている。

おやおや、あなたも。

新聞記者出身で、見事な字を書
く人は珍しい、と言ってよいか。

しかし、そうでない人もいたか
ら、記者は全部悪筆であるとは
限らない。

私の先輩たちは、旧漢字で生き
て来た。ある支局長は、学校の
学の字なんか画数の多いのを省
かず書いていて、びっくりした
ことがあった。

記者は取材で、相手の言ってい
ることを早や書きしなければ、
間に合わない。

もともと字の汚さでは、私もだ
が、主に取材のメモで多くの字
を書く必要がある職業だったの
で、悪筆が直ることはなかった。

字の美しさとかけはなれた人は
度々テレビでお目にかかる。

解説するとき黒板を使うが、放
送後本人はどう思っていること
だろう。

次は「すごかった」作家Ⅿ氏の
生の原稿について。