石巻で、震災の記録書ともいうべき新刊書を購入した。
うち1冊が三陸河北新報社発行の「津波からの生還」
であった。図書は石巻地方へ発行する日刊紙「石巻か
ほく」に「私の3・11」のタイトルで連載されたものを編
集したものだった。
いくつもある《体験》のなかで、「児童に山へ登れと叫
ぶ」を紹介しよう。
相川湾に面する相川小学校校では、津波が起こっ
た時の避難行動は、昔から高台のお宮さんに児童たち
避難させるように決まっていた。地震発生後、校長の片
倉誠之助先生は、子供たちをお宮さんへ逃がしたが、
津波は想像を超えるものだった。「山へ登れ!!」 と
片倉校長は叫んだ。必死に山を登る子供たち。
震災の5日後、10人の卒業式を行う。その時の状況は
次だった。
「卒業式は学校近くの道路で行われた。卒業証書はあ
りませんでしたが、『卒業、おめでとう!』 お祝いの言
葉を贈りました。涙を流す子どもたち。教師たちは声を
振り絞り、校歌を歌いました。横断幕も、花もない殺風景な式典
でしたが、涙、涙の感動の卒業式になりました」
その光景が見えるようではないか。
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