あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

なだいなださんのこと

2013-06-12 10:39:21 | インポート

訃報を知り、その死をとても残念に思います

なださんの著書を読み、講演を聴いて、精神科医としての考え方やおおらかな人間観、社会の矛盾を透徹した目で見つめ、問題提起する姿勢に、多くを教えられ大切なことを学ぶことができました。

6/11付の「天声人語」を読み、改めて なださんが訴え伝えようとしたことを再確認できたように思います。

民主党政権が誕生しても、「患者の熱〈政治の惨状〉が一時下がっただけのようなもの」と診立て予見したところに、政治の根本的な病巣はなかなか改善されないものだという考えが込められているように感じました。その意味で、国民の判断と選択をもとにした選挙という注射をすることで、症状が改善していく方向づけ〈治療〉が必要なのだと語っているように思えます。医者としての役目は、政治家ではなく国民が果たすのだというメッセージでもあるのでしょうか。

「理想とは、〈たどりつけるもの〉ではなく、〈見つめるべきもの〉である」 著書「権威と権力」から引用された言葉ですが、とても心に残る言葉です。理想は求める先にあるもの、たどりつこうとしてもはるかに高く、遠くにあって光り輝くもの。その光を見つめることで、意識はしなくてもその光を感じることで、人は前に進んでいけるのかもしれません。生きていく上での心の構えを教えてくれる言葉だと感じます。

アルコール依存症は「治す」のではなく、患者と「つき合う」。かって講演を聴いた時のことを思い出します。門限も設けず、患者が飲みたいと思えば飲みに行ける自由な環境の中で、治療にあたったとのこと。強制的に断酒する環境をつくるのではなく、患者自身が自分の意志で断酒を決断しなければならないと考えるようになるまで「つき合う」ことが治療だという考えでした。患者の意志や人格を尊重し、よりそう すばらしい精神科医でもありました。医師の仕事は「人間というものがよく見えるし、自分自身のいいところ悪いところが鏡のように映る」 それだけ人間的なものを見つめる人間的な医師だったからこそ、人間と人間がつくる社会がよく見えておられたのだと思います。

心からご冥福をお祈りしたいと思います。

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