心に残るアニメでした。
もらいっ子である主人公:杏奈の抱えている心の痛み。幼いうちに両親を亡くしたことで、手にすることのできなかった幸せ。新しい両親が差し出す愛情を素直に受け止めることができないほど、痛みは心の奥深くまで浸透していたのです。
その杏奈の頑なな心が、ぜんそくの療養先で過ごした夏の日々の中で解きほぐされていきます。マーニーという女の子との出会いを通して。
自分を心から愛してくれる人を求める二人が、お互いに相手を必要とし、必要される存在となったのです。
マーニーは、杏奈の心がつくりだした愛する友であり、同時に実在した存在でもあったのです。その友と過ごした日々の思い出が、杏奈の閉ざされた心を少しずつ開いていきます。疑いをもって人を見つめる歪んだ心を まっすぐな心に変えていきます。
そして何よりも、自分の出生の秘密を解き明かす手がかりとなったのです。両親の顔も知らないで育った杏奈にとって、自分がどんな経緯で生まれ、マーニーが自分にとってどんなに大切な人であったかが分かることで、自分の存在の意味を確かめることができたのです。
自分がかって愛された存在であり、今でも身近な人々(もらってくれた両親を含め)から愛されている存在であることを実感することができたのです。
心の痛みは、こうして少しずつ解消されていくのでしょう。そうやっていくなかで、内にいた自分が少しずつその境界線を越えて、外にいる人ともふれあっていけるようになるのでしょう。
痛んだ心が マーニーとの出会いと 穏やかな海と洋館と星と月のつくり出す 美しい景色の中で 癒され 新たな生きる力を見出す 心に 変容していく様子が 印象的です。
杏奈のこれからの幸せを 心から応援し見守っていきたいと思いました。