あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

「思い出のマーニー」を見て

2014-09-15 21:46:06 | インポート

心に残るアニメでした。

もらいっ子である主人公:杏奈の抱えている心の痛み。幼いうちに両親を亡くしたことで、手にすることのできなかった幸せ。新しい両親が差し出す愛情を素直に受け止めることができないほど、痛みは心の奥深くまで浸透していたのです。

その杏奈の頑なな心が、ぜんそくの療養先で過ごした夏の日々の中で解きほぐされていきます。マーニーという女の子との出会いを通して。

自分を心から愛してくれる人を求める二人が、お互いに相手を必要とし、必要される存在となったのです。

マーニーは、杏奈の心がつくりだした愛する友であり、同時に実在した存在でもあったのです。その友と過ごした日々の思い出が、杏奈の閉ざされた心を少しずつ開いていきます。疑いをもって人を見つめる歪んだ心を まっすぐな心に変えていきます。

そして何よりも、自分の出生の秘密を解き明かす手がかりとなったのです。両親の顔も知らないで育った杏奈にとって、自分がどんな経緯で生まれ、マーニーが自分にとってどんなに大切な人であったかが分かることで、自分の存在の意味を確かめることができたのです。

自分がかって愛された存在であり、今でも身近な人々(もらってくれた両親を含め)から愛されている存在であることを実感することができたのです。

心の痛みは、こうして少しずつ解消されていくのでしょう。そうやっていくなかで、内にいた自分が少しずつその境界線を越えて、外にいる人ともふれあっていけるようになるのでしょう。

痛んだ心が マーニーとの出会いと 穏やかな海と洋館と星と月のつくり出す 美しい景色の中で 癒され 新たな生きる力を見出す 心に 変容していく様子が 印象的です。

杏奈のこれからの幸せを 心から応援し見守っていきたいと思いました。

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みをつくし料理帖 に 重なる物語

2014-09-15 20:38:31 | インポート

みをつくし料理帖 の著者である 高田郁氏推薦の物語を読みました。著者は中島要氏、物語の主人公は 着物に込められた思いを汲み取り、しみ抜きなどその再生のために心を込めて尽くす 着物始末屋・余一です。

みをつくし料理帖の主人公:澪が、市井の人々が喜んで食の楽しさや喜びを味わうことができるよう旬の素材を生かした料理づくりに専念するように、この物語の主人公:余市も、着物に込めた人々の願いや思いを深く受け止め、古くなり擦り切れた着物に新たな命を吹き込みます。

一つの着物に関わって、さまざまな出来事や事件が生じます。余市は、そういった着物の始末を通して、込められた願いや思いをよみとり、人々の心まで紡いでいきます。

物語の筋にあたるものを縦糸とするならば、この物語が魅力的なのは、横の糸にあたる 余一やお糸など 登場人物たちが 存在感があり、お互いに関わり合う中での心の動きも丁寧に描かれ、奥行きのある物語に仕上げられていることです。その点でも、一人ひとりの登場人物たちが魅力的であった みをつくし料理帖 の物語にも重なるものがあります。

着物の始末屋:余一を主人公とする物語は、これまで3巻が発刊されています。「しのぶ梅」、「藍の糸」、「夢かさね」 と続く シリーズです。

そそっかしい私は、タイトルの魅力に惑わされ、3巻から読み始め、登場人物への説明のなさに違和感を感じながら読み進めてしまいました。それでも、読了した時点で次の巻を読みたいと思い、他の2冊の表紙を見て気づきました。読んだのは3巻だったということに……。以下、1巻・2巻と読み進めることで、読み終えた3巻の内容を改めて深く理解できたような気がしました。これから読む人には、是非1巻から読むことをお勧めしたいと思います……?。

暗い過去をもった主人公の余一が、自らの幸せまで手に入れることができるのかどうか、目を離せない物語との出会いとなりました。新たな物語との出会いを橋渡しして下さった高田郁氏に、心から感謝です。 是非、一読を!

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