『はやぶさが帰ってきただけでも夢のようなのに,夢を超えたものはどう表現したらいいのか』
今年6月に地球に帰還した探査機「はやぶさ」の計画を指揮してきた,宇宙航空研究開発機構の川口教授の言葉です。「はやぶさ」が持ち帰ったカプセルの中に,『小惑星イトカワの物質』が含まれていたことがわかり,そのことを『夢を超えたもの』と語りました。カプセルの中には,1500個もの微粒子が見つかり,その中に地球には存在しない物質が含まれていたそうです。
いい言葉ですね。『夢を超えた』という表現が,とても新鮮に心に響きました。
暗いニュースが多く,夢や希望をもつことさえ困難で,なんとなく重苦しい時代状況にあることを感じるからこそ,『夢を超えた』という言葉は,暗い空を突き抜けるような 爽快さと明るさを与えてくれる言葉でした。
はやぶさについては,これまでの報道でご存知の方も多いと思いますが,改めてその飛行経路等について調べてみましたので,次にまとめて紹介したいと思います。
はやぶさは,2003年の5月9日13時29分25秒に,宇宙航空研究開発機構が打ち上げた小惑星探査機である。イオンエンジンの実証試験を行いながら2005年夏にアポロ群の小惑星(25143)イトカワに到達し,その表面を詳しく観測してサンプル採集を試みた後,2010年6月13日22時51分,7年振りに,60億㎞の旅を終え,地球に大気圏突入した。本体は燃え尽きたが,採集カプセルはオーストラリアで無事回収することができた。7年間の間にさまざまなトラブルがあり,制御不能の状態になったりしたが,なんとか計画通りに探査を終え地球に戻ることができた。中でも,小惑星イトカワには二度着陸し,宇宙の起源を知る上での貴重なサンプル資料まで持ち帰ることができたのは大きな成果であった。
はやぶさが,さまざまなトラブルに遭遇しながらも,地球に戻ることができたということ。さらには,イトカワの貴重なサンプル資料まで持ち帰ることができたということ。7年間もはやぶさとともに苦楽を共にしてきた研究者としての実感あふれる言葉が,『夢を超えた』という言葉の内に込められているような気がします。
『夢を超える』ためには,具体的な『夢をもち続ける』ことと,『夢を実現させる』ために努力することが必要となります。身近な小さな夢であっても,その夢をもち続け,実現させるための努力を継続する中で,もしかすると『夢を超えた』と感じる時があるかもしれません。
夢を超えることのすばらしい可能性を開いてくれた言葉に出合うことができたこと,とてもうれしく思いました。