人体の生理的な特性は時間軸に沿って変動する。事象の変動は時間の実存を意味するので、体内には時間が存在することは明白である。これも老化のように時間の矢のように流れる現象と、周期性を持って規則的に繰り返す現象がある。一日のうちのほぼ一定の時刻に繰り返しおこる場合は日周性という。これは大抵、概日(約24時間)的な体内時計に支配されている。
人(哺乳動物)では、おおもとの体内時計はSCN(視交叉上核)という脳の中の小さな器官に存在する。これは1ペアーで1個は8000個ほどの細胞群で出来ている。
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午前3時 最低血圧
午前4時 喘息発作が最も激しい
午前6時 花粉症・寒冷ジンマシンが一番ひどくなる
関節リュウマチ炎が一番ひどくなる
午前7時 一日のうちで血圧の上昇が最大
扁桃痛、心臓発作、脳卒中が最も起きやすい
午前9時 尿量最大
午後3時 精神的活動がピークになる
午後4時 肺機能がピークになる(一分間当たりの呼吸量が最大)
午後3時一6時 変形性関節炎の症状が最もひどい
健康体ならスポーツに最適な時間
午後9時 血圧が降下しはじめる
午後11時 アレルギー性反応が増えはじめる
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上の表には、人の様々な疾患がどの時刻に表れるかを示している。例えば心臓発作は朝の7-9時の間におこる確率が一番高い。この時間帯には、血圧の高くなることは避けたほうがよい。
ガンなどの薬の効果についても、どの時間帯に服用するのがよいか、研究されている。薬の分解や吸収あるいはガン細胞の感受性などが、一日の時刻で異なっており、効果のある時間とない時間がはっきりしているケースが知られている。急性白血病の子供の投薬治療を、半数の患者には午前中に、残り半数の患者には夕方か夜早い時間帯に投薬を行った。すると、治療効果は後者の方が3倍も高かった。このように、時間を重視する医学を時間治療学(クロノセラピー)という。薬はいつ飲んでもよいというものではない。
参考図書
ジョン・D・パーマ 『生物時計の謎をさぐる』小原孝子訳 大月書店 2003
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