先々週は鮨、先週は天ぷらの話をしましたので‥。次はやっぱり「鰻」ですよね。
すでに日本うなぎは絶滅危惧種にも指定されており、このままだと何時食べられなくなるのかという心配もあるのですが、長らく不明だった産卵場所や、周回経路、そして幼魚が食べている餌の中身などが徐々に明らかになってきているので、近畿大学などが完全養殖に成功するのを、日本人みんなで祈りましょう。それまでの間は、日本人の義務として、鰻は安く食べようとは思わずに、年に1回か2回に限って、高い代償を払って、有難く頂くことを推奨したいと思います。
間違っても、吉野家とかで、500円とか600円で食べようとするのは自粛したいものです。このせいで、養殖用のウナギの稚魚の多くが全部中国に流れてしまうのです。希少な資源は、みんなで協力しながら、育てて増やさないといけません。
ところで鰻はどこが美味いか? この論争をすると日本は二分されます。大阪の腹開き、東京の背開き、などと区別しますが、まず蒸し焼きにしてから蒲焼にする江戸前方式と、ジックリ裏表を焼き上げる大阪方式。一番の違いは「食感」です。
ギラギラした余計な油を落として、ふわふわになった白身の鰻を、サッと表面だけを炙って頂くのが江戸前の蒲焼。すなわち、食感は「パリッ」と「ふわふわ」です。一方の大阪方式の食感は、ジックリ焼き上げていますから「パリパリ」。ちなみに、名古屋のひつまぶしにするには、絶対に大阪方式でないと成り立ちません。最後のお茶漬けには「パリパリ」でないと、出汁とのバランスが台無しになってしまいますから。
私の好みを言わせて貰えれば、やはり蒲焼と言えば「パリっ」と「ふわふわ」でないといけません。やはり、鰻といえば「江戸前」です。それでは、日本で一番美味しい蒲焼を出すお店はどこか? それはまたいつか、お話しましょう。