2022年の将棋界は、四冠になった藤井聡太竜王と、三冠を維持する渡辺明名人との頂上対決が、いきなり1月9日(日)10日(月)から実現致します。第71期 王将戦七番勝負の第1局が、静岡県掛川市の「掛川城 二の丸茶室」で行われる予定。
この頂上対決は、昨年の棋聖戦以来となりますが、王将戦は、一日対局ではなく二日対局ですので、より戦術面での優劣が勝負の分かれ目になります。その意味では、防衛側の渡辺明王将が、昨年の棋聖戦以降の藤井聡太 対 豊島将之の対局を研究し尽くして準備万端と思われ、大激戦になることは間違いありません。今後の将棋界を占う上で、大事な七番勝負になりますので注目です。
そして、その王将戦の真っただ中の2月6日(日)から、これまた注目の対決が始まります。第47期 棋王戦五番勝負の第1局が、静岡県焼津市の「焼津グランドホテル」で開催されます。9連覇中の渡辺明棋王に挑むのは、鬼軍曹の愛称で知られる永瀬拓矢王座。渡辺明棋王にとって、一方で藤井聡太竜王との防衛戦を戦いながら、この鬼軍曹の相手を務めなければならないのは大変な重圧だと思います。昨年も、防衛戦が同時並行の時期になると、やや息切れ気味になっていた渡辺明棋王。場合によっては、ここでタイトルを2つとも失うような事態があるかもしれません。
4月からは、第80期 名人戦七番勝負が始まります。ここは昨年に続いて斎藤慎太郎八段の挑戦が濃厚になってきています。渡辺明名人にとっても、前の2つの防衛戦に手こずると、名人戦への準備に注力できないリスクが出てきます。この防衛戦3連発は、渡辺明名人にとっても試金石になりそう。
そして、そのあとは藤井聡太竜王・四冠の防衛戦が続きます。第93期 棋聖戦、第63期 王位戦、第7期 叡王戦、そして第35期 竜王戦。藤井聡太竜王にとって、年初の頂上決戦である王将戦も大切ですが、夏からの防衛4連戦こそが大事。本格的な藤井聡太時代と呼ばれるためには、危なげのない防衛が欲しいところ。むしろ、ここで、あっけなく負けるようならば、『戦国時代』へ逆戻りとなります。
最後に、永瀬拓矢が守る「第70期 王座戦」。一発勝負のトーナメントによる挑戦者決定方式を、実は藤井聡太竜王はあまり得意ではありません。プロ棋士は、どんなに強くても勝率は8割ちょっと。1回負けると終わってしまうトーナメント戦を勝ち上がるのは、運も味方しないといけません。ここでは、無冠となった豊島前竜王か、あるいは、100タイトル目を密かに狙い続ける羽生永世七冠の挑戦権獲得といったトピックスが生まれるやもしれません。
2022年の将棋界は、藤井聡太竜王・四冠と、渡辺明名人・三冠の二人が中心となって回っていくことは間違いありません。今年も大激戦が各方面で繰り広げられること必至ですので、楽しみに注目致しましょう!