本日は、「アメリカ人の多くは他国の歴史に知見も関心もない」というテーマ。
以下は、2017年のトランプ第一次政権の時の話。
トランプ大統領と日本の安倍晋三首相が会談をしている際、トランプ大統領から「シンゾー。日本は昔、中国と戦争をしたことがあったそうだな?」と質問があり、「日清戦争ですね。そう、戦いました」と安倍首相が答える。さらにトランプ大統領が「それは大変だったろう」と聞いてきたので、「ええ。でも日本が勝ちました」と説明すると、「それは本当か‼」と、かなりビックリしたらしい。
さらに、安倍首相がこれに続いて、「日本はロシアとも戦争したことがあったのですよ」と言うと、トランプ大統領は、いかにも気の毒といった顔をして「それは本当に大変な戦いだったな」と返してきたので、安倍首相は「ええ。でもロシアにも勝ったのですよ」と説明すると、「え~‼」と叫びながらビックリ仰天となったとのこと。
近くにいたスタッフが、さすがにこれはマズイと思ったらしく、その次の会談からは、日本の歴史を事前レクチャーで勉強させたとの逸話が残っています。
まぁ普通の大統領ならば、もう少し近代の戦争史くらいは勉強していると思いますが、一般アメリカ人の他国の歴史に関する知識および関心は、上記の逸話とほぼ同じ程度と思って間違いありません。
ちなみに、アメリカのハイスクールの歴史授業は、「世界史」と「アメリカ史」。アメリカ史は実質250年しか期間がないので、けっこう詳細に学ぶようですが、世界史については、日本みたいに年表的に知識を詰め込むような授業ではなく、ポイントになりそうな世界史の事象を深く掘り下げる授業なので、網羅的で時系列的な一国の歴史を学ぶことはないとのこと。したがって、アメリカ以外の国の歴史について、ほとんど知見も関心もないのが当たり前のようです。
これが世界の覇権国であるアメリカ国民の実態であります。
さすがに、歴史上の覇権国である『ローマ帝国』や『モンゴル帝国』、また七つの海を支配した『大英帝国』の歴史くらいは勉強した方が良いと思いますが、そういう大切なポイントは、アメリカのエリートたちがきちんと学ぶので、一般のアメリカ人には必要ないと考えているのですかね。いかにも、アメリカらしい合理主義の考え方であります。
いずれにしても、GDPが世界の4%に過ぎない日本の歴史なんて、世界最強のアメリカ人にとってはどうでもいいこと。彼らに日本を理解してもらうためには、そのことを念頭に入れながら、彼らに対する発信内容を考えていかねばならないのです。
いつかトランプさんと会談することになる石破茂首相には、ぜひこの点をご認識頂ければと切に願っております。