このBlogは、2020年の4月2日に掲載したものの再掲です。コロナ禍の終息が見えてこないこの時期、今でも、よく読まれている一編なので、少し手を入れた上で、改めてご紹介いたします。
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宮崎駿の「風の谷のナウシカ」では、1000年前に起きた「火の七日間」という最終戦争によって、高度産業文明が崩壊。その後は、汚染された大地に、異形の生態系である「腐海」が広がり、「蟲」と呼ばれる巨大な昆虫生物が腐海を守っている。腐海には多くの菌類が生育しており、その菌類から噴出される猛毒の「瘴気」が人間を寄せ付けない。衰退した人類は、拡大する腐海の瘴気と蟲に怯えながら生きている。
しかし、主人公のナウシカは、人類同士の勢力争いに巻き込まれながら、偶然に迷い込んだ腐海の最下層部にて、その腐海が極めて長い時間をかけながら、汚染された大地と空気を浄化している真実にたどり着く‥。
宮崎駿の名作と、今のコロナ騒動を無理に重ね合わせてみる訳ではありませんが、2月に都市封鎖を行った武漢や、サプライチェーンの停止により工場の操業を止めた上海や北京では、名物のスモッグが消えてなくなり、ぜん息で苦しむ市民が激減しているそうです。同じ事象が全世界で発生するとなると、コロナ騒動⇒人・モノの動きが止まる⇒世界中の需要が減退⇒石油・石炭などの炭素系エネルギー消費の減少⇒温暖化へのブレーキ効果、という流れに。
新型コロナウイルスが「腐海」なのか、「瘴気」なのかは分かりませんが、少なくとも、人類が足並みを揃えるのに20年かかっても出来なかったことを、たった2か月ちょっとで、全世界の気候変動リスクの源を止めてしまったのは事実。新型コロナが、地球からの刺客、いやメッセンジャーかもしれないと、妙な気分に浸ってしまいました。
この感染がいったん収まり、また人・モノの動きが再開すると、石油・石炭を燃やしてエネルギー使用量も回復する。そうなると、また変異したコロナ株の感染が再開して、また人・モノの動きを止める。コロナ禍が地球の意志だとすれば、この繰り返しは、人類の行動が変わらない限り、あるいは、人類の数が激減しない限り、どこまでも続くのでしょう。
それが判っていても、人類は目の前の行動を変えることが難しい。そのことは、35年前の「風の谷のナウシカ」の世界が教えてくれています。