2024年のJRA賞が7日に発表されました。
2024年の年度代表馬には、天皇賞秋とジャパンカップを制したドウデュースが選ばれました。これは皆さん、異論がないところでありましょう。
最優秀2歳牡馬にはホープフルSを快勝のクロワデュノール、最優秀2歳牝馬には阪神JFを勝ったアルマヴェローチェが選ばれ、これも文句なしという気がいたします。さらに、最優秀3歳牝馬には牝馬二冠のチェルヴィニア、最優秀3歳牡馬にはダービー馬ダノンデサイルと、ここも常識的な選出だと思います。有馬記念を勝ったレガレイラは惜しかったですが、総合的にチェルヴィニアというのは納得感が高い。
また最優秀マイラーにはマイルCSを勝ったソウルラッシュ、最優秀スプリンターにはスプリンターズSを勝ったルガルも常識的な選。ただ最優秀マイラーには、安田記念を勝った香港のロマンチックウォリアーが選ばれても良い気はしましたが、ロマンチックウォリアーはもともと芝2000mが専門分野なので、票を入れる方々も躊躇した部分があるのでしょう。ここは理解できるところです。
しかし、全く納得できないというか、理解できない結果が、「最優秀ダートホース」にフォーエバーヤングが選ばれなかったこと。
最優秀ダート馬に選ばれたレモンポップは確かに、浦和のさきたま杯、盛岡のマイルチャンピオンシップ、中京のチャンピオンズカップと、国内でGⅠ級を3勝しているので、普段の年なら文句なしの選出と言えるでしょう。でも、海外遠征したサウジカップ(GⅠ)では12着に惨敗していますので、全くの「内弁慶」の評価が妥当です。さらに選出されたメインの理由である12月のチャンピオンカップでは、世界のダートで活躍実績のあるウシュバテソーロ、デルマソトガケ、フォーエバーヤングの出走はなく、レースレベルの低い国内GⅠ勝利が主な選出理由となる結果に。
これに対して、3歳牡馬フォーエバーヤングは国内外で史上稀に見る活躍を見せてくれました。春はサウジダービー(GⅢ)、UAEダービー(GⅡ)と世界の有力3歳を相手に2連勝したあと、3歳ダート世界一を決める米国ケンタッキーダービー(GⅠ)にもコマを進めて、ハナ差ハナ差の僅差3着。秋にもダート世界一を決める米国ブリーダーズカップクラシック(GⅠ)に出走して惜しくも3着。ダート競馬において世界でトップ3に入る実績を成し遂げたのです。さらに国内でも、ジャパンダートクラシック(GⅠ)と東京大賞典(GⅠ)を完勝。ジャパンダートクラシックでは同期の強豪であるミッキーファイトやラムジェットを圧倒、東京大賞典ではウシュバテソーロ、デルマソトガケ、ウィルソンテソーロという古馬一線級を粉砕していて、明らかに日本国内には敵なしの実績を残しました。
「そのフォーエバーヤングが最優秀ダートホースに選ばれないとしたら、おかしい!」と感じているのはワタクシだけでありましょうか⁉
(矢作芳人調教師が「フォーエバーヤングが部門賞を取れなかったのは残念」と無念さを吐露するコメントを出されていましたが、これは投票者への抗議に近いコメントだったと思います。ワタクシも当然のコメントだと思います)
このJRA賞の投票は、顕彰馬投票と同じく、キャリア3年以上の競馬記者に投票権があって、この多数決(1/3以上)で決まる仕組みですが、あのキングカメハメハが期限ギリギリまで顕彰馬に選出されなかった理由と同様、投票権を持つ記者の中に「見識不足」の方々が数多く含まれていることが、こうした結果が起こる原因に思えます。
かつて1999年に、日本国内で1回も走らなかったエルコンドルパサーが、凱旋門賞であわやの惜しい2着の実績をあげ、年度代表馬に選出されたことがありました。あの時も、記者による投票結果では、国内でGⅠを3勝したスペシャルウィークがトップの票数を集めましたが、当時の基準である過半数に届かず、JRA受賞馬選考委員11名による協議によって、エルコンドルパサーが年度代表馬に選ばれました。
顕彰馬投票でも、JRA賞投票でも、同じ傾向が見られるのですが、現在の競馬記者250名超の投票結果だと「ファン投票」とほぼ同じ結果になると言うこと。であれば、最初から「ファン投票で決めるJRA賞」にすれば良い。
でも本来は「競馬有識者による投票でJRA賞を決めたい」というのが趣旨でしょうから、であれば「投票権を与える競馬記者を厳選する方式」に変更すべきと考えます。
単に「ファンの支持が多い」とか、「GⅠ勝利数が多い」とか、分かりやすい基準だけで馬を選ぶのなら有識者投票の必要はありません。将来の競馬界の発展、すなわち次世代の生産・繁殖・育成に繋がるような「顕彰馬投票」「JRA賞投票」となるよう制度の変革を望みたいと思います。