金融マーケットと馬に関する説法話

普段は資産運用ビジネスに身を置きながら、週末は競馬に明け暮れる老紳士の説法話であります。

【金融】中間層化が終わり、成長が止まると、何が始まるか?

2019-02-08 07:28:25 | 金融マーケット
 前回、資本主義経済の成長の源泉は「中間層が形成される際のエネルギー」=「原始的な生活から抜け出し、近代的な生活レベルを競い合って実現しようとする爆発的なエネルギー」であると申し上げました。そして、このエネルギーは世界のすべての地域で中間層を育て切った段階で消えてなくなると言いました。それでは、成長のエネルギーが消えた後、何が始まるのでしょうか?

 成長のエネルギーが消えていますので、新規投資の需要も極端に弱くなり、金利はゼロ水準で動かなくなります。したがって富裕層の富も、富が富を呼ぶような状態ではなくなります。一方で、一般市民の生活レベルも殆ど変わらず、安定した時代が到来します。世界の各地域ともに同様の状況となり、やっと静かな時代が訪れた‥かに見えます。

 しかし、歴史上同じような状況下で起きた事象が「略奪」や「侵略」といった悲劇でした。
 人類が農業を始めたころ、食糧事情が改善して爆発的に人口が増えていきました。また農業自体の普及によって、広い地域で農地の開拓が行われていきました。ただし、農業の普及が一定程度進んでいくと、畑に適した土地にも限りがあり、いったん成長が止まります。そこで発生するのが「略奪」です。農作物を作るのには長い時間がかかりますが、略奪は一瞬で成果があがります。さらに進むと農地そのものを奪い取る=「侵略」となります。

 人類の遺伝子には、現状のままでは満足できず、「昨日よりも今日、今日よりも明日は更に豊かになりたい」という欲が刷り込まれているようです。その結果、大規模なゼロ成長時代が到来すると、地域間や国家間での争いが発生しやすくなるようです。しかも、そうした時代には、富を独占する支配層が、一般市民から自分に向けられそうな不満を国外へ振り向けようと「共通の敵」づくりに奔走します。こうした行為が紛争の着火点になっていくのでしょう。

 ところで、現在の世界では、中間層を育成するプロセスが終了して、豊かだけどゼロ成長時代に突入している地域が数多く存在しています。ヨーロッパ各国や日本がその典型です。
 こうした世界はこの後、どのような状況になっていくのか。少し想像力を働かせて考えてみましょう。


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