N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

ウォール・ストリート

2017-07-24 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ウォール・ストリート
原題:WALL STREET:MONEY NEVER SLEEPS
監督:オリヴァー・ストーン
脚本:アラン・ローブ
キャスト:マイケル・ダグラス、シャイア・ラブーフ、キャリー・マリガン、他
2010/アメリカ


《バブルが人類の進化を促す》?

素晴らしく挑発的で刺激的な台詞である。
しかしだよ、
あれほど世界を震え上がらせた世界同時暴落を題材にしながら、
作品にはほとんど緊張感がないのである。
欲望と葛藤と落胆をもう少しえぐるような切れ味を期待したのに。

《腑抜けたホームドラマ》のような軽さだった。前作『ウォール街』(原題: Wall Street)は観ていない。制作は1987年。当時の日本はバブル崩壊へ向かってまっしぐらに踊りまくっていた。あまりの見苦しい狂乱ぶりに「こいつらアホか」と思っていたし、ましてやインサイダーで稼ぐ《ハスラー》には興味はなかった。マイケル・ダグラスはこの作品でアカデミー主演男優賞を受賞。一躍名を馳せる。

それから2年後の89年、あの《ブラック・レイン》は興奮して観た。大阪阪急梅田のちょっとレトロなあの通路を通るたびに、マイケル・ダグラスに立ち向かった松田優作の血相を変えた表情を思い出す。こんなところでバイクを飛ばすなんて、よくも思いついたもんだと呆れるくらい。大阪の経済力にまだまだ魅力があった時代である。そしてその後バブルは大きく弾け吹っ飛んだ。

さて、そしてさらにあの頃から大小いくつのバブルがはじけたのか。そのたびにバブルは人類の進化を促したというのか?

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落下の王国

2017-07-24 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★落下の王国
原題:The Fall
監督:ターセム・シン
2006インド/イギリス/アメリカ

世界遺産を舞台に石岡瑛子さんの衣装デザインが栄える。こんな美しいシーンをたっぷり観れるなんて余りにも幸せ過ぎる。万華鏡のごとく次から次へと極彩色シーンの連続。望遠レンズの解像度が高く鮮やか、透明感溢れる。あっと息を飲み込む。じーっとうっとり見つめる。場面の変わる瞬間の一コマがとても繊細に計算され、スピード感がある。

「次はどうなるの?」期待感が沸き上がる。
光と闇の扱いがとてもすばらい。病院の中は、レンブラントの怪しい光の絵画のような、フェルメールの静謐な光の絵画のような。黒の美しさはゴヤの絵画のよう。

スタントマン、ロイの憂鬱が良く解る。あり地獄のようなまさに「落下の地獄」。「落下のイメージ」が残酷で鮮やかでそして美しい。恐怖とプレッシャーと戦いながら、しかし、ラストは素晴らしい「落下の天国」へと変わる。なんとも悩ましいくらいに美しい物語。



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