映画を観た。
★クライマーズ・ハイ
原作:横山 秀夫
監督:原田 眞人
出演:堤真一、堺雅人、尾野真千子、山崎努、滝藤賢一、他
2008/日本
映画を観ながら、あの1985年8月、ボクは何をしていたのだろうかと思いめぐらす。日航飛行機事故のニュースは衝撃であり、テレビの画面に釘付けになった。新聞を隈無く読んだ記憶がある。一報は、飛行機行方不明のこと、墜落現場は特定できていないこと。そして次第に明らかになる惨事。多くの犠牲者と助けられた人のこと。ボクの記憶は映画が記録する通りである。ひょっとしたら記憶操作をしているかもしれないが。
映画は地方新聞の現場での混乱と衝撃の一週間を描いている。大きな事件が飛び込んできた事の混乱と記者としてのチャンスの歓びも描いている。上映時間145分間のほとんどは、怒鳴り声と罵声の飛び交う新聞製作現場での濃密なやりとりに費やされているが、長く感じる事なく鑑賞した。携帯通信の時代の現代からみると、当時の通信事情は未発達である。コードのついた電話を手にして怒鳴っている姿をみていると、かすかなノスタルジーさえ感じてしまった。
実際の飛行機事故というテーマを扱いながらも、視点を変え、取材者側からみた新しい物語として創作され、映画スタッフの熱いボルテージは感じたが、登場人物が余りにも多く、また現代と過去の時間の行き来などがありすぎて、「描き過ぎ」の感じがした。何を描かないかの選択があってもよかったのではないか。
「クライマーズ・ハイ」という精神状態は初めて知った。山好きだったボクには少しだけだが解るような気がする。壁を上るのは絶対無理だが、なだらかな尾根歩きなら今でもできそうだ。