映画を観た。
★リミッツ・オブ・コントロール
監督:ジム・ジャームッシュ
キャスト:
イザック・ド・バンコレ:Lone Man
ティルダ・スウィントン:Blonde
工藤夕貴:Molecules
ジョン・ハート:Guitar
ガエル・ガルシア・ベルナル:Mexican
2008/アメリカ
「リミッツ・オブ・コントロール」 研ぎすまされた非情に感覚的な作品です。
white-screen.jpから「ジム・ジャームッシュ監督が語りつくす!最新映画「リミッツ・オブ・コントロール」の記事を見つけました。監督の製作スタイルがとても興味深く語られ、共感することの多い話です。監督の言葉を拾い集めました。
■監督は冒頭で登場するランボーの詩について語る。
ー撮影終了後思いついた。精神錯乱のメタファーなんだ。作為的な感覚の混乱だよー
意味深だけど、作為的な物を感じたけど、やっぱりね。
■監督は、ロケ地スペインについて語る。
ーイザックの演じる人物が旅をするスペイン南部の自然のままの風景はとても風変わりで夢のようだった。セビリアは世界で一番好きな街で、ずっと魅了されつづけている。ねじれたカーブを描く狭い路地や、建築物に精巧さ、、、バルコニーがいたるところにあって、、通りから見上げた人にしか目にしないバルコニーの下面までが、凝ったタイルばりなんだ。、、、、、、、。ー
■監督は脚本について語る。
ー脚本が成長するにまかせて、従来の脚本というものを作らないようにした。、、、、、、。これはいつもの僕の手順じゃない。普段は最初からかなり細かい脚本を書いている。でも今回は指示も最小限で、実際のところ最初はセリフもなかった。撮影を進めるなかで、一連のセリフをつくっていったんだ。ー
■監督はイザックについて語る。
ー俳優としての彼の一番好きな点は、大げさな演技をする必要のないところだ。彼はすごく人間らしい小さな動きで演じることができる。観客はそれを解釈するんだ。彼はほんの少し目を細めるだけで、ほんの少し口の端を動かすだけで、たくさんのことを伝えることができる。僕はそれを捉えたかった。
ーイザックの体の使い方は、すごく動物的でありながら、同時にすごく意図的でもある。彼のボディーランゲージには強さとプライドが感じられるし、リミッツ・オブ・コントロールでは、イザックが外見上は何もしていないように見せることで、彼が演じる役所に表情が出たー
■監督は工藤夕貴について語る。
ーミステリアス、フェミニン、少しセクシーで、支配的。おしつけるような性格じゃない。よく映画に出てくる、ミステリアスな変なアジア人役ではなく、ユウキそのものー
■監督は、クリストファー・ドイルについて語る。
ー過剰な演出はしたくなかったが、それでもその場所の色が持つ価値は残したかった。ただ技術的なものよりもフレーミングのよって強調するようにした。フュイルムはカラーバランスの良さを考えて富士フュイルムのものを使った。
えらいなぁ。このスタイルが好きです!
ークリスが小論文の中で、文化的経験といった要要因の依存して人の目がどんな風に異なった反応をみせるかについて書いているー
ああ、読みたいですね!
ークリスはセットの中で、その場所を明るくするためではなくむしろ影を作るために照明を使っていた。これはポジティーブな部分とネガティーブな部分の対比の認識を逆転させたんだ。僕らは、画家の感覚を目指していたから、、、、、、単に作品を分解するように仕事をするんじゃなくて、自分たちの周りにあるものに夢中になる無垢な能力を取り戻そうとしたんだ。ー
ああ、カッコイイです! これは。
■監督が語る 映画について
ークリスと「これを見るのは今回が初めてだ」という表現を使ってよく話したね。逆のとらえ方をすれば「もう二度とこと部屋を通ることはないだろう」という感覚だ。僕らにとって映画は自分たちのものの見方だからね。よくふたりで、観客の感覚を変えるなにかを生み出したいって言っているんだ。お客さんが映画館を出たときに、彼らのものの見方がたとえ一時的であったとしても新しく変わっていて欲しい。テーブルの上の平凡なコーヒーカップや、腰を下ろしている部屋に差し込む光を見るときの見方がね。ウィリアム・ブレイクは僕の尊敬する監督のひとりだけど、彼にとって想像力は信仰なんだ。なにかを想像する力というのは、人間が与えられたもっとも力のある才能だ。それは科学の分野でもどんな表現形式でも同じことさ。
人がそれぞれどんな風に世界を見ているかは、そしてその世界のなかの人の意識も、主観的なものだ。ものの意味や、もののイメージをどう捉えるかという点で、個人一人ひとりがすでに確立されている支配を拒む権利を持っている。映画は、人が自由に理解をするものだと思っている。今回のタイトルは、こういった考えがあって気に入ったんだ。自分たちの支配には限りが有る。もしくは自分自身の支配…なんだろうね。 ー