映画を観た。
★空気人形
監督:是枝裕和
出演:ペ・ドゥナ、板尾創路、ARATA、他
2009/日本
《李屏賓(リー・ピンビン)の捕らえた東京・・・空気人形》
リー・ピンビンが東京の街をどのようにみせてくれるのでしょうか。
その興味はとても押さえがたいものでした。
メイド服を着た「空気人形」の物語は、是枝監督がどのように言い訳を作ろうが、監督自身のエロスへの趣味そのものであり、この映画は性的興奮を狙った確信犯的AV作品です。映画のテーマとして所々で「生きる」ことを問いかけてはいましたが、現実に生きる人物たちの存在そのものが陽炎のように儚く弱々しく描かれていましたので、ちょっと謎掛けをした程度のように、まさに言い訳程度のように聞こえました。逆に性的行為の代用品としての「空気人形」の存在がリアルにまぶしく描かれています。その対比の際立ちがエロスの美しさを一層印象づけたように思いました。
この作品の興味の一つは、是枝裕和監督は日本人、主演のヒロイン、ペ・ドゥナは韓国人、カメラ撮影のリー・ピンビンは台湾人という、東アジア人の映画であるということです。
3人の視点が微妙にぶつかり合い、東アジア風というか、いわゆる無国籍風に仕上がっていました。
カメラのリー・ピンビンが捕らえたものは、現実と夢とが交錯した白昼夢の東京下町。
ねじ巻時計のちょっとリズムの狂ったような時間の刻み方。
シュールな表現ですがこの感覚は好きですね。