ロシア近代絵画の巨匠、イリヤ・レーピン
8月4日、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムにて開幕の「国立トレチャコフ美術館所蔵 レーピン展」。
ロシアでは文学におけるトルストイ、音楽におけるチャイコフスキーと並んで、近代絵画の巨匠と称されるイリヤ・レーピンですが、日本では初めての本格的な回顧展ということもあり、あまり馴染みのない方も多いのではないでしょうか?
そこで....
レーピンについて、作品と合わせて少しずつご紹介したいと思います!!
《チュグーエフ近郊のモフナチ村》1877年 水彩、ホワイト、鉛筆・紙
上の絵は、レーピンが生まれたウクライナの小村チュグーエフに程近い、モフナチ村で描かれたドローイングです。レーピンは13歳でチュグーエフの陸軍地形測量学校に入学して水彩画を学んだのち、教会でイコン(聖像画)を描く画家たちのもとに修業に出ます。しかし19歳の時にプロの画家となるべく美術アカデミーへの入学を志し、乗り合い馬車と鉄道を乗り継いで、帝都サンクト・ペテルブルクまで約3週間かけて上京。翌年晴れてアカデミーに合格したのでした。
《浅瀬を渡る船曵き》1872年 油彩・キャンヴァス
アカデミー入学後は、学生サークルでの熱心な議論や画家イワン・クラムスコイの影響を受けつつ、《ヤイロの娘の復活》で大金メダルと6年間の給費留学生の資格を取得するなど、徐々に頭角を表していきます。
そんなレーピンの名声を一気に高めたのが1873年に完成した《ヴォルガの船曵き》でした。
ペテルブルク郊外のネワ河で牛馬のように働く人々の姿をみたことをきっかけに、ヴォルガ河に場所をかえて少しずつテーマを深めたこの作品は、ドストエフスキーや「移動派」を擁護した批評家スターソフにも認められ、ウィーン万国博覧会に出品されることになります。
完成に至るまでに幾つもの習作を制作したり、完成後も違うバリエーションを描くなど、熱の入れようも相当なものでした。
今回は、《浅瀬を渡る船曵き》をはじめ、出世作《ヴォルガの船曵き》にいたるまでの試行錯誤の過程を、油彩画、デッサンを通して初めてご紹介します。
これが構想段階かと驚くような作品ばかりですので、ぜひ楽しみにご覧下さい。
(c)Text, photos, The State Tretyakov Gallery, 2012
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