北海道立函館美術館
「陶酔のパリ・モンマルトル1880-1910」見所紹介!
展示会場中、意外と多く目にするのが上の写真のような書籍・プログラム類。
本展出品作品の約3分の1を占めています。
というのも、19世紀末はポスターや書籍、新聞等への挿絵がメジャーな芸術として注目されており、ロートレックをはじめ、世紀末世代の芸術家がこぞって挿絵を描いた時代なのです。
本展で取り上げている「アンコエラン(支離滅裂派)」や「フュミスト(冗談好き)」の芸術家グループも『シャノワール新聞』を発行し、ここぞとばかりに社会風刺や冗談を飛ばし合っていました。
なかでも「アンコエラン」らしいのが、下の挿絵を描いた「著名なるサペック」氏。
《パイプを咥えるモナ・リザ / 『リール(笑い)』紙の挿絵》ウジェーヌ・バタイユ(通称サペック)作 1887年
「著名なるサペック」氏は、サペック自身が行ったことに加え、本当かどうかわからないような奇行の数々を新聞作家のアレーがもっともらしく報告することで出来上がった人物像です。本人、アレー、フュミストの友人、アレーのコントの読者らが全員で捏造、普及、伝説化していった、まるで現代のネット小説のキャラクターのような人物でした。(田中晴子著『フュミスム論』参照)
他にも、
左:《アールザンコエラン展のカタログ表紙》 ジュール・シェレ作 1886年
右:《カフェ・デ・ザンコエラン》 ジョゼフ・ファヴロ作 1886年
不条理や狂気の象徴とされていた月の中へ飛び込んでしまうポスターや、展覧会での一風変わった出品作品をまとめたものが、本のイラストとして面白おかしく紹介されています。
特に第1章のコーナーで沢山展示されていますので、美術館にお越しの際には是非お楽しみ下さい。
この他、会期中は函館美術館学芸員による
毎水曜日の
レクチャー「ちょっとオシャレにフランス美術~フランス美術のダイナミズム」
毎土曜日の
映画上映会
など、様々なイベントが催されますので、お見逃しなく!
写真提供 弊社スタッフ 木村はるか
おまけに、、
JR函館駅から徒歩10分のところにある「金森赤レンガ倉庫」。
「シャ・ノワール」と同時代に建てられた倉庫で、現在もお土産屋さんやレストラン、コンサート・ホールのある観光名所として多くの人に愛されています。
北海道立函館美術館
■市電(路面電車)
「函館駅前」から湯の川方面行乗車。「五稜郭公園前」下車徒歩7分
■バス
「函館駅前」から函館バス105系統/106系統乗車。「五稜郭公園入り口」下車徒歩3分
■タクシー
JR函館駅より約10分
函館空港より約20分
詳しくは
北海道立函館美術館アクセス情報をご覧下さい。